【泣き所はタイミングチェーン】アウディS4(B6/B7) 英国版中古車ガイド NA V8の喜び

公開 : 2021.08.26 08:25

2003年から2009年に製造された、B6・B7と呼ばれるアウディS4。NA V8エンジンを褒める一方、内部のプラスティックには要注意だと英国編集部は忠告します。

プラスティック製のガイドとテンショナー

執筆:John Evans(ジョン・エバンス)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
アウディA4の高性能版がS4。だが、B6とB7と呼ばれた世代のS4は買うべきではない、というネットの書き込みを目にすることがある。アキレス腱があることは事実だが、対策は不可能ではない。

否定的な意見が出るのは、V8エンジンにタイミングベルトではなく、タイミングチェーンが用いられていることが原因。一般的にチェーン駆動の方が耐久性は高いものの、肝心のチェーンガイドとテンショナーが、この型ではプラスティックでできているのだ。

アウディS4(B6/2002〜2005年/英国仕様)
アウディS4(B6/2002〜2005年/英国仕様)

16万kmを過ぎた頃から、プラスティックは割れ始める。テンショナーが張りを保たなくなると、チェーンが緩くなり、死の警告と表現したくなる異音が出る。もしチェーンがコマ飛びしてしまうと、エンジンはご臨終を迎えてしまう。

テンショナーキットを用意して、予防的に交換すれば問題ない。ところが、タイミングチェーンはエンジンの後部にあり、エンジンを下ろす必要がある。英国の場合、費用は2500ポンド(38万円)前後必要となってしまう。

確かに、タイミングチェーンの状態を確かめずに乗られてきたS4は、選ばない方が良いだろう。0W-40か5W-40のエンジンオイルが、定期的に交換されて来たかどうかも重要なポイントになる。

ただし、ネットの口コミはやや誇張気味に広がることがある。自然吸気のV8エンジンを搭載するサルーンやステーションワゴンは珍しい。状態の良いS4に乗るという喜びは、味わっておく価値はあると思う。

S4を運転する喜びの中心はNAのV8エンジン

B6世代のアウディS4が欧州で発売されたのは、2003年。4ドアサルーンのほかに、ステーションワゴンのアバントと2ドアのカブリオレが用意された。

オールアルミの4.2L V型8気筒自然吸気エンジンは、最高出力343psを7000rpmという高回転域で発揮した。41.6kg-mの最大トルクは、比較的低めの3500rpmで到達する。

アウディS4(B6/2002〜2005年/英国仕様)
アウディS4(B6/2002〜2005年/英国仕様)

トランスミッションは、ゲトラグ社製の6速MTか、シフトパドル付きでZF社製のATが選択できた。0-100km/h加速は5.0秒と、当時としては驚くほどの俊足だった。鋭い走りを支えたのが、クワトロと呼ばれる四輪駆動システムと、電子制御のロックデフだ。

エンジンの回転数が高まると同時に放たれる咆哮は、聴き応えたっぷり。B6やB7のS4を購入したいと考える理由にもなり得る。

2005年に、ビッグマイナーチェンジを受けB7世代へアップデート。エンジンの性能などは変わらずだったが、サスペンションが一新され、2007年からはトルセン式のセンターデフも新しくなっている。4本出しのマフラーも特徴だ。

B6とB7のどちらでも、前後にベンチレーテッド・ディスクブレーキを装備し、速度感応式のパワーステアリングを採用している。操舵感はナチュラルだが、フロント側へ優先的にトルクが伝わるクワトロによって、操る楽しさは多少犠牲になっている。

この世代のアウディS4を運転する喜びの中心にあるのは、NAのV8エンジンなのだ。

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