【打倒巨人は叶うのか】フォルクスワーゲン・ゴルフGTI x BMW 128ti x ホンダ・シビック・タイプR 中編

公開 : 2021.09.04 20:25  更新 : 2022.08.08 07:26

ホットハッチの定番、VWの最新ゴルフGTIが対峙することとなったBMW 128ti。交代間際の巨人、シビック・タイプRと三つ巴の比較試乗です。

目指す方向性を突き詰めたクラブスポーツ

執筆:Richard Lane(リチャード・レーン)
撮影:Luc Lacey(リュク・レーシー)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
スーパー・ホットハッチの四輪駆動、BMW M135iとは異なり、スペック最優先ではなく、訴求力のある操縦性に焦点が向けられたのが前輪駆動の128ti。ボディの剛性バランスを見直し、1シリーズのMスポーツより10mm低いスプリングが組んである。

ステアリングの特性も見直され、レスポンスを速めつつ、調整マージンを広げてある。より、BMWらしさを高めたといっても良い。

ホワイトのフォルクスワーゲン・ゴルフGTI クラブスポーツ45とBMW 1シリーズ 128ti、イエローのホンダ・シビック・タイプR リミテッド・エディション
ホワイトのフォルクスワーゲン・ゴルフGTI クラブスポーツ45とBMW 1シリーズ 128ti、イエローのホンダシビック・タイプR リミテッド・エディション

フォルクスワーゲン・ゴルフGTIは、記念モデルのクラブスポーツ45。8代目への進化に当たり、フォルクスワーゲンはゴルフGTIを、走りへの妥協のないモデルへ仕立てた。スプリングレートを高め、ステアリングのダイレクトさを強めている。

しかし、あえて一歩引いた絶妙なバランスこそGTIの強みだった。最新のゴルフGTIへは、しなやかさや流暢さといった褒め言葉が当てはまらなくなっていた。

そんな8代目ゴルフGTIの登場から半年後、クラブスポーツが登場。基本路線は変わらないものの、目指す方向性をしっかり突き詰めている。

コントロールアーム・マウントは新しくなり、サスペンション・スプリングは10mm短縮。フロントタイヤのネガティブ・キャンバーが強められ、ゴルフR用の強力なブレーキが組まれた。フロントアクスルのロック機構も見直された。

さらにクラブスポーツの45では、アクラポビッチ社製のチタン・エグゾーストに、19インチのスコッツデール・ホイール、専用ステッカーが貼られ、ゴルフGTIの誕生45周年を全身で祝っている。充分な特別感がある。

そのぶん、金額は安くない。英国価格は4万130ポンド(618万円)だ。

100mで理解できる新シャシーのメリット

ゴルフGTI クラブスポーツ45に乗ると、新しいシャシーのメリットを初めの100mで理解できる。ステアリングの応答性が鋭くなり、乗り心地は標準のGTIと同等ながら、程よいタイトさを身に着けている。

オプションのDCC(ダイナミック・シャシー・コントロール)ダンパーが装備され、減衰力は15段階に調整できる。正直、少し細かすぎるけれど。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTI クラブスポーツ45(英国仕様)
フォルクスワーゲン・ゴルフGTI クラブスポーツ45(英国仕様)

今回の試乗では、コンフォートの標準設定から2段階引き締めることにした。現実的な速度域で、郊外の道での姿勢制御と乗り心地に、最良のブレンドが得られるためだ。

チタン製エグゾーストは見た目がカッコイイが、サウンドは5%ほど活気が増す程度。まだ人工的な印象が強いものの、車内に響く音響は気持ちをアゲてくれる。

起伏に富んだカーブの続く道を、ゴルフGTI クラブスポーツ45で走る。長距離ドライブを短時間に感じさせる洗練性と上質なインテリア、中回転域でのたくましさを兼ね備えた、バランスに優れるホットハッチだと実感する。

フロントアクスルが有り余るグリッ力を生成するのに加え、ステアリングがドライバーへ一層の自信を与えてくれる。GTI クラブスポーツ45なら、より正確に、積極的にコーナーへ飛び込める。リアアクスルの安定性も一因だろう。

ステアリングラックのレシオ設定も秀逸。アクセルペダルを雑に操作したり、路面が危険なほど荒れていても、操舵感にはほとんど影響がない。GTI クラブスポーツ45を飛ばすほど、美しくまとまった訴求力が見えてくる。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事