【打倒巨人は叶うのか】フォルクスワーゲン・ゴルフGTI x BMW 128ti x ホンダ・シビック・タイプR 後編

公開 : 2021.09.05 09:45  更新 : 2023.07.06 11:49

ホットハッチの定番、VWの最新ゴルフGTIが対峙することとなったBMW 128ti。交代間際の巨人、シビック・タイプRと三つ巴の比較試乗です。

ドライバーへの要求が多い128ti

text:Richard Lane(リチャード・レーン)
photo:Luc Lacey(リュク・レーシー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
BMW 128tiの操舵感には適度な重みがあり、悪くはない。しかしステアリングホイールのリムが太く、スローなレシオでフィーリングが及ばない。フォルクスワーゲン・ゴルフGTIは、よりリニアに反応する。タイヤサイズが大きいことも影響しているだろう。

BMWのトルクコンバーター式8速ATより、フォルクスワーゲンの7速DSGの反応が鋭いことも、軽快さや機敏さが薄い理由。トルセン式のLSDは安全志向で、ターンイン時にアンダーステアが顔を出すこともあるようだ。

ホワイトのフォルクスワーゲン・ゴルフGTI クラブスポーツ45とBMW 1シリーズ 128ti、イエローのホンダ・シビック・タイプR リミテッド・エディション
ホワイトのフォルクスワーゲン・ゴルフGTI クラブスポーツ45とBMW 1シリーズ 128ti、イエローのホンダシビック・タイプR リミテッド・エディション

ゴルフGTI クラブスポーツ45が積むクラッチベースのVDQシステムなら、抑えられるのだが。

高速域での落ち着きでも、恐らくゴルフGTIの方が一枚上手だろう。より繊細にサスペンションを動かしているような感覚を受ける。とはいえ、もし筆者が2台から選ぶなら、BMW 128tiを取るだろう。

GTI クラブスポーツ45ほど速くはなく、見た目の特別感も小さい。だが、シートに座るお尻にはより豊かな感触が伝わり、ステアリングホイールにも生きているような情報量がある。路面変化で重みが変化するものの、手に負えなくなるほどではない。

直進状態からステアリングホイールを10度ほど切り込めば、一貫性が高まる。クラス最高の質感といってもいい。フォード・フォーカスSTのしなるような感覚がお好みでなければ。

ゴルフGTI クラブスポーツ45よりドライバーへの要求が多いことも、128tiの特長。ホットハッチとしての魅力だと思う。

古くからのホットハッチに通じる魅力

グリップに頼りすぎず、フロントノーズを正確にコーナーへ導く。必要に応じてブレーキングし、自然に反応するLSDを活かし加速する。クルマとの一体感と得られる感覚が融合し、128tiのドライビング体験は充足度が非常に高い。

走りの刺激に加えて、優れたインテリアと、3台では最も手頃な価格という要素もBMWのストロングポイント。これでMTなら、一層輝くだろう。古くからのホットハッチに通じる、魅力的なモデルだと思う。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTI クラブスポーツ45とBMW 1シリーズ 128ti
フォルクスワーゲン・ゴルフGTI クラブスポーツ45とBMW 1シリーズ 128ti

一方で、伝統のtiという2文字を与えるなら、もう少しの活発さを欲してしまうことも確か。操縦性の味わいは、BMWの血統へ習っているだけに。

より積極的に回頭し、リアタイヤを流しながらラインを修正できるのはフォルクスワーゲンの方だ。ゴルフGTI クラブスポーツ45の功績も認めたい。

それでは、ホンダ・シビック・タイプRを超えただろうか。ドイツ製の2台と比べて、ホンダのフィードバックや一体感は別次元といえるほど。だが、ラジオやエアコンのないリミテッド・エディションと比べるなら、多くのドライバーは128tiを好むと思う。

タイプRの抜群のシャシー精度に、素晴らしいシフトフィール。さらに7000rpmを超える意欲的なVTECエンジンが備わっていたとしても、BMWの快適性が勝ってしまう。

だが、リミテッド・エディションではないシビック・タイプRなら立場は変わる。試乗車の95%の能力を備え、快適性は20%ほど高い。エアコンも付いて、汗を我慢する必要もない。

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