【新型キャンパー登場】フォード・トランジット・ナゲットへ試乗 一味違うレイアウト

公開 : 2021.09.02 08:25

英国フォードは、商用バンのトランジットへ手を加えたキャンピングカーを投入。VWカリフォルニアに、新しいライバルが登場しました。

ウェストファリアのポップアップ・テント

執筆:Piers Ward(ピアス・ワード)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ステイケーションに注目が集まる2021年。英国フォードは、ナゲットという新しいトランジットを発売した。この名前に決定するまでの過程が、少し気になる。

トランジット・ナゲットは、このセグメントの元祖といえるフォルクスワーゲン・カリフォルニアや、メルセデス・ベンツのマルコ・ポーロに対するフォードの答え。ポップアップ・ルーフを備える、ボクシーなキャンパーだ。

フォード・トランジット・ナゲット 2.0 TDCI 185PS(英国仕様)
フォード・トランジット・ナゲット 2.0 TDCI 185PS(英国仕様)

ナゲットの屋根に載るのは、ウェストファリア社製のポップアップ・ルーフテント。ベース車両はトランジットL1となる。フロントには184psと42.2kg-mを発揮する、2.0Lの4気筒ディーゼルエンジンが搭載される。

トランスミッションは6速ATで、前輪を駆動。0-100km/h加速時間は明らかになっていないが、マルコ・ポーロとほぼ同じくらいだろう。

ディーゼルエンジンはメルセデス・ベンツより静ではないものの、パンチ力は充分。6速ATのおかげで、一般道を走らせるのに特に難しいことはない。

乗り心地は少々残念なポイント。サスペンションが硬く、跳ねるような感じが強い。しかし、元のトランジットは1t以上の荷物を積むことを前提としている。フォードは、ナゲットのスプリングを変更しなかったようだ。

定員の大人が乗り込み沢山のキャンプ道具を積み、42Lの浄水と別の下水タンクが一杯になった時に備えて、必要な硬さだと考えたのだろう。

後方にミニキッチン 車外にはシャワー

もっとも、フォード・ナゲットの主眼とするところは走りではない。機能面でも充分に煮詰められ、ライバルモデルと渡り合える内容を獲得している。

その中で興味深いのが、車内のレイアウト。フォルクスワーゲンとメルセデス・ベンツはレイアウトがほぼ似ており、キッチンは車両中央にある。それに対してナゲットは一番後ろ。運転席やリビングエリアから、離れた場所に設けられている。

フォード・トランジット・ナゲット 2.0 TDCI 185PS(英国仕様)
フォード・トランジット・ナゲット 2.0 TDCI 185PS(英国仕様)

この配置は機能的でもあり、空間を明確にわけて効果的に使えると感じた。キッチンには40Lの冷蔵庫と、2口コンロを装備。シンクには、温水と冷水の蛇口が付く。引き出しの中には、文明的な食器類も用意されている。

冷蔵庫はかなり強力に冷える。5時間ほど牛乳を入れていたのだが、完全に凍結してしまったほど。ボディの外には、シャワーも付いている。ただしポンプの水圧が弱く、ベタつく海水を洗い流すのには充分とはいえないようだった。

洋服の収納スペースは、週末の家族4名での旅行なら充分だろう。キャンプ慣れしていればわかるが、丁寧なパッキングと、都度の片付けは不可欠。この辺りは、ライバルモデルでも同じだと思う。

広報用の写真を見ると、焼きたてのクロワッサンと、きれいに折られたナプキンがテーブルに並ぶ。現実的に小さな子供2人を連れて旅立てば、そこまで文化的な朝食は楽しめないとは思う。

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