【トヨタ・ヤリス】これほどまでに売れたワケ ヤリスに吹いた3つの「追い風」
公開 : 2021.08.27 05:45 更新 : 2021.10.09 23:42
ヴィッツも達成できなかったナンバー1をヤリスが達成。大ヒットを支えた3陣の「追い風」を解説します。
ヴィッツも未達成 初の栄冠
トヨタの「ヤリス」は、昨年(2020年)2月10日に、コンパクトカー「ヴィッツ」の後継モデルとして日本での発売が開始された。
デビュー翌月となる2020年3月に登録車の販売ランキング(一般社団法人日本自動車販売協会連合会)で3位に食い込むと、翌4月には1位に上昇。
1~6月を通しての販売数こそ、前年よりヒットしていたコンパクトSUV「ライズ」に1位をゆずるも、7月以降は月間ナンバー1をキープ。
8月末には、兄弟車である新型「ヤリス・クロス」がデビュー。兄弟車の販売数も、同じ「ヤリス」に組み込まれることも追い風になった。
そして、その販売は好調のまま、2020年1~12月の販売ランキングで1位、2020年度(4~3月)でも1位という2冠を達成したのだ。
実は、「ヤリス」が年間1位を獲得できたのは、「ヴィッツ」時代もあわせて初となる。
「ヴィッツ」のデビューは1999年であったが、2000年代は「カローラ」と「フィット」、2010年代は「プリウス」と「アクア」、「ノート」という強力なライバルたちがいたことで、最高でも2位という結果しか残せなかったのだ。
そういう意味でも、今回の「ヤリス」の大ヒットは、歴史的な偉業といえるだろう。
ヒットを支えたヤリス・クロス
今回の「ヤリス」の大ヒットで、大きな一助となったのが「ヤリス・クロス」と「GRヤリス」という兄弟車の存在だろう。
この兄弟車2モデルの販売数も「ヤリス」に追加されているからだ。
こうした兄弟車によって数を稼ぐという手法を、トヨタは古くから使っている。
その典型といえるのが「カローラ」だ。
現在でも「カローラ」は、セダンの「カローラ」と「カローラ・アクシオ」、ハッチバックの「カローラ・スポーツ」、ステーションワゴンの「カローラ・ツーリング」に「カローラ・フィールダー」が存在する。
それでもランキングでは、すべてが「カローラ」に集約されていた。
こうした手法が、「カローラ」の2001年までの33年連続ナンバー1の偉業に大きく貢献したことは間違いない。
そんなトヨタの伝統の技でナンバー1となった「ヤリス」だが、今回はとくに「ヤリス・クロス」の貢献度が高い。
ライバルとなるのは、ホンダの「ヴェゼル」や日産「キックス」、マツダ「CX-3」などのBセグメントSUVであり、どれも人気モデルだ。
しかし、「ヴェゼル」は2021年にフルモデルチェンジするなど、2020年はモデル末期。
同様に「CX-3」もモデル末期で勢いはない。日産「キックス」は、2020年6月に発売開始となったが、生産の問題もあったようで、初期のダッシュに失敗している。
つまり、どのライバルも不調の中で「ヤリス・クロス」が発売された。
売れないはずはないというわけだ。