【現実の環境でテスト】アウディeトロン50クワトロ・アドバンスト試乗 一般道/高速道路/峠道で検証

公開 : 2021.09.02 11:05  更新 : 2021.10.11 11:56

現実に則した環境でアウディeトロン50クワトロ・アドバンストに試乗。ゼロ・エミッション競争の勝者はEVか? だとしたらどのEVが勝利の資格者か?

あと8年半 様々な現実の課題

執筆:Kenji Sasamoto(笹本健次)
撮影:Daisuke Ebisu(戎 大介)

EUでは、2035年までにハイブリッド車も含めた内燃エンジン車の販売禁止案を発表した。

また、AUTOCAR本拠地がある英国でも2030年までにガソリン/ディーゼル車の販売の中止を打ち出している。

アウディeトロン50クワトロ・アドバンスト
アウディeトロン50クワトロ・アドバンスト    戎 大介

しかし、2030年といえば、あと8年半ほどしか残されていない。

この間に、本当にEVを中心とするゼロ・エミッション車が、充電設備の普及や、内燃エンジン車に比べて短い走行距離の克服といった、様々な課題を解決しえるのか。

あるいは、水素エンジンなどの新たな可能性が浮上してくるのか、といった技術の進歩の状況を、新型車の試乗や新技術の紹介などを通じて継続的にレポートし、読者の皆さんにリアルタイムの情報をお届けしてゆきたいと思う。

EV長距離テスト ルール紹介

まず、このレポートのルールをお知らせする。

まず、現状のゼロ・エミッション車の現状を知るため、それぞれのメーカーの代表的なEVをできるだけ、長期間に亘って試乗し、実際に様々な充電ポイントで充電をおこなうなどして、その実力を見極めたいと思う。

最低でも、1週間、できれば、2週間ほど日常生活の中で試乗。一般道/高速道路/峠道を現実に則した試乗で検証する。
最低でも、1週間、できれば、2週間ほど日常生活の中で試乗。一般道/高速道路/峠道を現実に則した試乗で検証する。    戎 大介

それゆえ、最低でも、1週間、できれば、2週間ほど日常生活の中で試乗をしたいと考えている。

AUTOCAR JAPAN編集長の私の場合、基本的な行動パターンとしては、川崎の自宅を起点とし、東京では、三軒茶屋のACJマガジンズのオフィスに通勤することが週に数回(いまは殆どテレワーク)。

そして、もう1つの事業所である山梨県甲府市の旅館「常磐ホテル」に、最低週1往復、多い時には3往復する、という日常である。

川崎と甲府の間は片道110km程度なので、殆どのEVは、満充電にしてあれば問題なく到達できる距離である。

何らかのタイミングで、自宅で充電ができない場合でも、途中の中央高速のパーキングエリアには、急速充電の設備が整っているので、まず、問題は起きないと思っている。

因みに川崎の自宅には、単相100V/200Vの電源があり、甲府の旅館には、汎用の充電器が2基設置されている。

また、大きな技術の変革の際には、実際に、その技術を詳細に取材し、随時、紹介をしてゆきたいと思う。

アウディeトロン50クワトロ・アドバンスト

記念すべき、この特集の第1回目は、アウディが自信をもって市場に投入したeトロンである。

このクルマは、アウディとして初のEVであり、今年の1月に満を持して発売された。

アウディeトロン50クワトロ・アドバンストはEVらしい奇抜な外観を採用せず、僅かにフロントグリルの格子柄で、EVを主張するに留まる。
アウディeトロン50クワトロ・アドバンストはEVらしい奇抜な外観を採用せず、僅かにフロントグリルの格子柄で、EVを主張するに留まる。    戎 大介

ボディ・デザインは、もっと奇抜なものを予想していたが、意外にも、オーソドックスなアウディのコンセプトを踏襲したSUVとなった。

僅かにフロントグリルの格子柄で、EVを主張しているだけである。

試乗車は、カタルーニャレッドメタリックという派手な塗色で、Q5とQ7の中間のやや大きめのサイズ(4900×1935×1630)と相まって、かなり目立つ。

アウディらしさを凝縮した重厚な味わいのデザインは、カリスマ性があり所有する喜びを感じさせてくれる。

車両価格は1258万円(税込み)で、このうち、オプションが189万円なので、素の価格は1069万円ということになる。

カタログによると、最大航続距離は、316kmということだが、実際の数値はどのようなものだろうか。

クルマを受け取ったのは自宅のガレージで、この時点でオドメーターは5656km、航続可能距離は267kmであった。

早速、ガレージに装備している単相200V電源と、車載の充電ケーブルを使用して充電を始めると、4時間強で満充電になり、航続距離は312kmとほぼカタログ値に近くなった。

記事に関わった人々

  • 笹本健次

    Kenji Sasamoto

    1949年生まれ。趣味の出版社ネコ・パブリッシングのファウンダー。2011年9月よりAUTOCAR JAPANの編集長、2024年8月より総編集長を務める。出版業界での長期にわたる豊富な経験を持ち、得意とする分野も自動車のみならず鉄道、モーターサイクルなど多岐にわたる。フェラーリ、ポルシェのファナティックとしても有名。

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