【オープンでジェントルに】フォルクスワーゲンTロック・カブリオレ 1.0 TSIへ試乗 3気筒110ps
公開 : 2021.09.15 08:25
ゴルフやニュービートルのカブリオレなき今、VW唯一のオープンモデルとなっているのが、Tロック。英国編集部が評価しました。
ドイツでは28.8%がカブリオレ
いつもの試乗レポートとは、ノリがちょっと違う。ルーフレスのSUVを、冷笑するつもりはまったくない。販売台数を見れば、フォルクスワーゲンの判断が間違いではなかったことが、よく分かる。
ここ1年間でTロックの売れ行きを確認すると、英国ではカブリオレが6.9%を占めている。意外と悪くない数字だ。だが、ドイツでは28.8%にも及ぶという。ドイツで売れたTロックの3分の1近くが、カブリオレなのだ。
予めもう1つお断りしなければならないのが、写真。今回試乗したのは、デザインというトリムグレードだったが、写真のクルマはRラインとなっている。
違いはボディトリムや前後のバンパー、リアスポイラーの形状など。またRラインの場合、ステッチが施されるスポーツシートや、ボディと同色の装飾パネルが内装に備わる。インテリアが華やかさを増している。
AUTOCARでは以前に1.5L 4気筒ターボガソリンのTロック・カブリオレを試乗しているが、今回は1.0 TSIと呼ばれる、1.0L 3気筒ターボガソリンの前輪駆動。1番手頃なユニットで、最高出力110ps、最大トルク20.4kg-mを発揮する。
純EVの群を抜く馬力に見慣れてくると、正直物足りない数字ではある。だが、このクルマのターゲットユーザーにとっては、充分なものとはいえる。ちなみに英国では、37%のTロック・ユーザーが1.0 TSIを選んでいるという。
通常のTロックよりホイールベースは長く、車重は1482kgある。0-100km/h加速に要する時間は12.3秒だ。
3気筒らしい心地いいビート
基礎骨格をなすのは、フォルクスワーゲン・グループのMQBプラットフォーム。ボディ剛性を高めるため、フロントガラスを囲むAピラー周りのほか、アンダーボディ全体が強化されている。
ソフトトップの開閉に必要な時間は15秒。ボタン1つで簡単に操作でき、荷室の上にきれいに畳まれる。リアシート後ろ側のソフトトップ用格納エリアに畳まれるため、荷室が侵食されることもない。
ひと世代前のフォルクスワーゲン・モデルということで、エアコンやラジオには指先で押せるハードボタンが用いられたまま。扱いやすい。
試乗したデザイン・グレードのレザーシートは、グレーとベージュの2トーンで仕立てられていた。好みはわかれるかもしれないが、ブラックが基調となるインテリアの雰囲気を明るくしてくれていた。配色にはセンスが問われる。
通常のTロックは定員5名だが、カブリオレは4名。リアシートには、大人が2名乗るのに充分な空間がある。3ドアのみで、アクセスはフロントシートを倒す必要があり、少々面倒ではある。
クロスオーバーのオープンだから、急いで走るタイプのクルマではない。小排気量の3気筒らしい、心地良いエンジンのビートが聞こえてくる。パワーはなくても、充分に洗練されている。
最大トルクは2000rpmから生まれるため、高めのギアに入れっぱなしで、トルク任せに走れるクルマでもない。その回転域に届くとターボチャージャーの圧力が増し、突然パワーが高まる印象もある。