【EV(電気自動車)】じつは100年前からありました
公開 : 2021.09.08 05:45
100年以上も前に街中を走っていたEVがあったのです。EV不遇の歴史から、急速に進み始めた現代のEVシフトを考えます。
一気に進み始めたEVシフト
このところ、自動車メーカー各社から相次いで新型EVが発表されている。
例えば、日産は今冬、新型EV「アリア」を発売する。「リーフ」をひと回り大きくしたサイズ感のクロスオーバーSUVだ。
軽自動車クラスの新型EVについても、日産は三菱との共同開発車を日産/三菱それぞれのブランドから2022年度初頭に国内販売することが明らかにされている。
また、トヨタとスバルはコンパクトSUVクラスの四輪駆動EVを共同開発し、「bZ4X」と「ソルテラ」を2022年に発売予定だ。
そのほか、欧米ではEV義務化の方針を打ち出すなど、このところグローバルでのEVシフトが目立つようになってきた。
とはいっても、EVの販売台数はガソリン車やハイブリッド車に比べるとかなり少ないのが実状で、多くの人にとってEVはまだ特殊なクルマという存在であり、または未来のクルマというイメージを持っていると思う。
そんなEVはいつから存在しているのか? これまでEVに関してどのような経緯があったのか?
EVの歴史を振り返ってみることで、これからのEVがどのように普及する可能性があるのが見えてくるかもしれない。
まずは、最初のEVブームについてみていこう。それはなんと、今から100年以上も前のことだった…。
最初のEV 100年以上も前に?
ところはアメリカのニューヨーク・マンハッタン。時代は1900年代初頭である。
マンハッタンには、欧州などから新天地を求めて多くの移民が押し寄せていた。
今のような超高層ビル群は当然ないが、それでもレンガ造りのビルが立ち並ぶ都会であった。
マンハッタンは湾岸エリアにある大きな中洲のような場所のため、地面の高低差が少ない。また、大通り(アベニュー)と、それと直角に交差する小道(ストリート)で構成さえる、いわゆる碁盤の目の都市計画がおこなわれた。
その中の交通手段は、馬車や自転車が主流で、欧州から渡ってきたガソリン車は富裕層の乗り物として存在するのみだった。
そのほか、タクシーが普及し始めていたが、なんとその多くがEVだったのだ。
タクシーの事業所には充電ステーションもあった。
なぜEVタクシーだったかといえば、ガソリンエンジンの開発がまだ初期段階であり、またガソリンの品質が安定しなかったため、毎日定期的に走行するタクシーでは事業効率が低かったからだ。
そこで、すでに工業部品として世の中に出回っていたモーターを活用した車が考案されたのだ。
GMやフォードなど、自動車メーカーが近年のEVシフトに関する資料を公開する際、EVの原点として、そうした1900年代初頭のマンハッタンの風景を移した画像を紹介することが多い。