【リサイクル可能な電気自動車】BMWが描く2040年 iビジョン・サーキュラー

公開 : 2021.09.07 15:50

BMWが発表したコンセプトカーのiビジョン・サーキュラー。100%リサイクル素材で製造され、ソリッド・バッテリーを搭載する想定です。

100%リサイクル素材を使用

執筆:James Attwood(ジェームス・アトウッド)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
BMWがミュンヘン・モーターショーで発表したコンセプトカー、iビジョン・サーキュラー。2040年を想定した純EVのプレミアム4シーターだ。独創的なプロポーションとディテールを備え、BMWとしてまったく新しいデザインが与えられている。

ボディサイズは、i3とほぼ同じ。BMWのCEO、オリバー・ツィプセ氏によれば、このクルマは単なるコンセプチュアルなスタディモデルなのだそうだ。2025年からBMWが展開する、ノイエクラッセ・デザインを予兆させるものではない、と主張している。

BMW iビジョン・サーキュラー・コンセプト
BMW iビジョン・サーキュラー・コンセプト

iビジョン・サーキュラーが意図するものとは、カーボン・ニュートラルな純EV。循環型経済(サーキュラー・エコノミー)の原則に沿い、再考、削減、再利用、リサイクルといった循環型の設計思想を表現したものとなる。

iビジョン・サーキュラーは100%リサイクル素材を使用して作られており、乗られなくなってからも、すべての素材を再利用できる想定。リチウムイオンより高密度で、希少金属の利用を減らせるソリッド・ステート・バッテリーも、その1つだ。

削減という点で見ると、構成部品や使用素材、表面仕上げなどの数や工数を減らしている。例えば、BMWのトレードマークともいえるギドニーグリルは、ヘッドライトと一体のディスプレイによるグラフィックへ置き換わっている。

ボディもインテリアもサスティナブル

ボディ形状は、SUVとMPVを融合させたもの。タイヤはボディの四隅にレイアウトされ、車内空間を最大限に広げている。ボディサイドにクロームフレームはないが、BMWの特徴といえるサイドガラス後端のホフマイスター・キンクは残されている。

ドアは観音開き。ボディはアルミニウム製で、素材の使用量を減らすために非塗装。アルマイト処理され、ライトゴールドに染められている。一方、ボディ後端部分は熱処理が施されたスチールだという。

BMW iビジョン・サーキュラー・コンセプト
BMW iビジョン・サーキュラー・コンセプト

タイヤも、サステナビリティに配慮して栽培された、天然ゴム製だとのこと。

インテリアは、ラグジュアリーなデザインと、サスティナブルな生産プロセス、リサイクル素材とを両立させることが目的。例えばパノラミック・グラスルーフは、車内の明るさを自然に高められる。

4席のシートは、リビング用のソファーのようだ。これは、アルミニウム製のフレームと、樹脂をリサイクルしたファブリックで仕立ててある。

メーターパネルに据えられるモニターも、BMWとして新解釈。ダッシュボードは、「引き込まれるような照明効果を持つ、クリスタルの躯体に、神経のような構造が走る」とBMWが説明する見た目で、ナチュラル仕上げのウッドも用いられている。

スピードなどの情報は、ヘッドアップ・ディスプレイに集約。ドライバーは、ステアリングホイールに3Dプリントされたインタラクティブ・パッドを介して、情報を組み合わせる事が可能だという。BMWはフィジカルとデジタルの融合を狙ったという。

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