【運転が楽しいFRの純EV】BMW iX3へ英国試乗 ベースはX3 航続距離460km

公開 : 2021.09.25 08:25  更新 : 2021.10.15 13:27

BMWが英国で販売する、初の電動SUVとなるiX3。X3をベースにしながら、能力の高さと運転の楽しさを英国編集部は評価します。

バッテリー容量は74kWh、航続距離は460km

執筆:Illya Verpraet(イリヤ・バプラート)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
電動SUVのBMW iX3には、コンパクトなシティカー、i3との共通点は殆どない。i3はカーボンファイバー構造を備え、未来的なデザインをまとう。一方のiX3は、名前は似ているとはいえ、もう少し従来的だ。

テスラに加えて、フォルクスワーゲン・グループやヒュンダイ・グループから、次々と純EVがリリースされている。怒涛の勢いに直面したBMWも黙ってはいられず、既存のX3をベースにiX3を開発した。

BMW iX3 プレミアエディション・プロ(英国仕様)
BMW iX3 プレミアエディション・プロ(英国仕様)

フロントのドライブシャフトを外し、フロアにバッテリーが並べてあるが、構造的にはX3と共通部分が多い。BMWが後輪駆動モデルの主力として用いるCLARプラットフォームは本来、様々なドライブトレインへ対応するよう設計してある。

それでも、iX3のボンネットを開きプラスティック製カバーの下を覗くと、不自然に使われていない空間が残されている。荷物を置ける便利な空間も、確保されているけれど。

X3との近さは気にならなくもないが、iX3のスペックを見れば、そんなことは忘れられるかもしれない。駆動用バッテリーの容量はグロスで80kWh、実容量で74kWhある。航続距離は460kmと充分な長さだ。

ジャガーIペイスアウディeトロン 50、メルセデス・ベンツEQC 400といった競合モデルと比較しても、同等以上の航続距離を確保できている。

最大150kWまでの急速充電器に対応し、10%から80%までバッテリーを蓄えるのに必要な時間は最短32分。内燃エンジン・モデルを改造して純EVにした割には、かなり優秀な数字といえるだろう。

286psのAC同期モーターで後輪駆動

AUTOCARでは2020年11月にドイツでiX3へ試乗しているが、今回は英国の一般道。その間に、フェイスリフトが施されている。

見た目の変化は限定的で、ヘッドライトが新しくなり、キドニーグリルが若干大きくなった。シフトレバーだけでなく、iドライブ・コントローラーも新しいものに置き換わっている。

BMW iX3 プレミアエディション・プロ(英国仕様)
BMW iX3 プレミアエディション・プロ(英国仕様)

インフォテインメント・システムのiドライブは最新バージョンにアップデート。タッチモニターも大型化された。今回試乗したiX3は、限定グレードのプレミア・エディションだった。

iX3の英国価格は、Mスポーツで5万9730ポンド(907万円)から。さらに3000ポンド(46万円)余計に払えば、Mスポーツ・プロへアップグレードできる。英国のiX3は、Mスポーツが基本となる。

ただし、サスペンションはアダプティブダンパーが標準。Mスポーツの、硬い乗り心地ではない。

X3を起源とするから、iX3は純EVに最適化されたモデルではない。シフトレバーが備わり、モニター式のメーターパネルには、BMWでおなじみの4眼メーターのグラフィックが用いられている。起動時に、宇宙船のような効果音が聞こえてくるが。

1基のAC同期モーターが発生する286psのパワーは、後輪へ伝達される。発進加速は鋭いものの、爆発的というほどではない。内燃エンジンのクルマと比べれば、65km/h前後までの加速は特に速いから、純EVに乗り慣れていなければ驚くとは思う。

iX3の0-100km/h加速は6.8秒。2185kgの車重を考えれば、充分に立派だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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