【電動化のミライ】トヨタ電動化戦略のキモ 「全固体電池」とは?

公開 : 2021.09.20 05:45  更新 : 2021.09.20 07:12

加速するEVシフトで注目が集まる「電池」。トヨタの電動化戦略の肝となる「全固体電池」について解説します。

加速するEVシフト 気になる電池

執筆:Kenji Momota(桃田健史)
編集:Taro Ueno(上野太朗)

2020年代に入り、EVシフトが一気に加速しそうな雰囲気になってきた。

なかでも動きが早い欧州で「2035年までにEV/FCV(燃料電池車)100%義務化」が事実上、決まった。

トヨタbz4xコンセプト
トヨタbz4xコンセプト    トヨタ

これを受けて、ジャガーボルボに次いで、メルセデス・ベンツがEVシフトを表明。「市場環境によっては、2030年に完全EV/FCV化」を打ち出してきた。

日本では、リーフで量産EV市場をリードしてきた日産が2021年冬にアリアを発売予定のほか、三菱と共同開発の軽EVを2022年度始めに発売する。

また、トヨタはEV専用プラットフォームを使ったbZシリーズを展開し、第1弾として2022年央にスバルと共同開発する四駆EV bZ4Xを発売する。

こうした新型EVに関する発表会見や、EV事業に関する技術説明会などで、メディア側から必ずといってよいほど出る質問がある。

それは「全固体電池の開発状況は?」とか、「全固体電池はいつ頃、どのモデルに搭載され量産されるのか?」というものだ。

全固体(ぜんこたい)と聞いて、多くの人はいったいどのような電池なのか想像するのは難しいのではないだろうか?

なぜならば、一般的に電池といえば、家電に使う単三電池や単四電池、また自動車向けではエンジンを始動するなどで使う12Vのバッテリーで、その外観は金属や樹脂など固体なのだから……。

電動車の肝 「全固体電池」とは?

数年前に愛知県豊田市のトヨタ本社に隣接する、トヨタ会館内の博物館で、トヨタが開発中の全固体電池の技術展示があった(直近で筆者が同地を訪れた2021年6月時点では展示はなかった)。

見た目は、銀色の四角い物体で、表面は厚めのアルミホイールのような感じ。

2021年9月7日、トヨタは電池戦略について説明をおこなった
2021年9月7日、トヨタは電池戦略について説明をおこなった    トヨタ

大きさはアップルのアイパッドくらい、いや、質感を含めた大きさ感はヒンヤリ頭を冷やすアイスノンというイメージだろうか。

こうした外からのイメージでは、「全固体」という雰囲気ではない。

では、なにがどう全固体なのかといえば、電解質といわれる液体部分を固体にした、という意味だ。

全固体電池は、リチウムイオン電池の仲間である。リチウムイオン電池は、正極と負極の間に電解質およびセパレーターがあり、イオンが正極と負極の間を移動することで充電と放電をする仕組みだ。

リチウムイオン電池といえば、スマホ、パソコン、電動アシフト自転車など、さまざまな電動機器で使われている。

その中で、自動車向けは全体の電気容量が大きいことで、大型リチウムイオン電池と呼ばれ、電池の形状にはテスラが使う円筒型、三菱アイミーブなどが使う角型、そしてリーフなどが使うラミネート(パウチ)型という3つに大別される。

トヨタ会館に展示されていた全固体電池は、ラミネート型と同じような外観だった。

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