【スズキ製660ccが復活】ケータハム・セブン170 Rへ試乗 ブランド最軽量の440kg 後編
公開 : 2021.10.05 19:05 更新 : 2021.10.11 17:47
小さな排気量のスズキ製3気筒エンジンが、ケータハムに復活。過去最軽量のセブンを、英国編集部が評価しました。
ロータスの軽量化の精神に通じる
筆者は、ナローボディのケータハム・セブンが好きだ。ロータスの、軽量化の精神に通じていると感じるから。
試乗車にはオプションのローワード・フロアが装備され、ドライビングポジションは標準より低い。さらにコンポジット・シートで下げられている。4点ハーネスも、エンジンのパワーやタイヤ以上にシリアスな雰囲気を高めている。
155/65のタイヤで包まれる、14インチ・ホイールは細身。ディスク面はセンター部分が高く、ホイールキャップに見えなくもない。
筆者としては、従来の160が履いていたスチールホイールの方がカッコイイと思う。アルミホイールの方が軽いのかもしれないけれど。85psと11.8kg-mという数字を考えれば、タイヤ幅は充分に足りているようだ。
ちなみに、スタットボルトのPCD値はスズキ車に準じるため、通常のセブン用ホイールは履けないという。
小さな軽自動車用3気筒エンジンは、アイドリング時からとても静か。そのことを好ましく感じるドライバーも多いだろう。今回の取材では観光客の多い自然の中で撮影を行ったが、何度も止まったり往復しても、不快そうに目線を向けてくる人はいなかった。
コンペティション・エグゾーストの典型的なケータハムなら、排気音は大きく迫力もある。でも、案外直ぐに聞き疲れてしまうものだ。
660ccでも大多数のモデルより運転が楽しい
確かに静かなエンジンだが、ドライバーとの距離が遠いわけではない。音響体験は他のセブンとは異なるが、3気筒ターボらしいオフビートを伴い、アフターファイヤーで弾けるノイズが楽しめる。
アクセルペダルのレスポンスも、170シリーズ以外のセブンとは違う。充分魅力的といえるものの、ダイレクト感が弱い。慣れるまで、少し不自然さを感じる人もいるだろう。
乗り心地は良好。170 Sの方がさらに良い。軽量なボディのおかげで、大きな隆起などを超えるとボディが弾かれる。それでも姿勢制御は素晴らしく、しっかり路面へ追従し落ち着きもある。
グリップの限界は他のセブンと比べれば低いものの、郊外での積極的な走りを充分に受け止められる水準にはある。LSDを装備していても、テールを流すには挑発的な操作が必要なほど。今回は天候に恵まれたが、濡れた路面なら、より自由度が高まるはず。
もしドリフトでの爽快なコーナリングを楽しみたいなら、シャシーバランスへ手を加える以上に、直線的なアクセルレスポンスと太いトルクが必要になりそうだ。しかし170 Rの最大の魅力は、その身近さにあると思う。
スーパーセブン1600に備わるスロットルボディと、排気量の余裕が生むリニアなレスポンス、13インチのミニライト・ホイールが、筆者を誘惑することは確か。しかし、大多数のスポーツカーより、小さなセブンも運転が楽しいことは間違いない。