【注目は充電能力】ルーシッド・エア 航続距離800km以上の最新鋭EV、生産開始 新興企業の底力
公開 : 2021.09.30 06:05
米国の新興EVメーカーが最速の充電速度を誇る新型EVの生産を開始。高出力、長距離走行を実現しています。
わずか20分で480km分を充電可能
カリフォルニアを拠点とする新興EVメーカーのルーシッドは、最大出力1080ps、最大航続距離800km以上を謳う電動ハイパフォーマンスセダン「エア」の生産を開始した。
最初に生産されるのは、最高級仕様の限定車「ドリーム・エディション」で、10月末には納車される予定だ。その後、「グランドツーリング」、「ツーリング」、「エア・ピュア」と続き、すでに1万3000台の予約が入っているとのこと。
「世界で最も空気力学的に優れたラグジュアリーカー」と謳われており、空気抵抗係数はわずか0.21に抑えている。また、最高速度は380km/hで、市販されているEVの中で最速となる。
ルーシッドによると、エアは1/4マイル(402m)の直線加速を9.9秒という速さで駆け抜けることができ、10秒の壁を破った最初のEVセダンになるという。また、この偉業を「一貫した再現性のあるベース」で達成できるとしている。
エアは、まず4つの仕様が用意される。米国のEV税控除を含む5万2100ドル(約580万円)から販売される標準モデルは、1基の電気モーターで後輪に400psを送り、サムスンが供給する75kWhのバッテリーで386kmの航続距離を実現している。
ツーリングモデルは、出力が620ps、航続距離が653km、価格が8万7500ドル(約970万円)にアップする。グランドツーリングは800ps、価格が13万1500ドル(約1460万円)で、米国のEPAサイクルで830kmの航続距離を誇る。
16万1500ドル(約1800万円)のドリームエディションは、4輪駆動で1080psを発揮し、0-97km/h加速を2.5秒で達成する。レザーとユーカリの木が使われた専用のインテリアデザインと、21インチの専用ホイールが装備されている。同仕様は航続距離が520マイル(837km)であることにちなんで、520台のみが販売される。
すべての仕様においてDC急速充電に対応し、わずか20分で航続距離480km分を補充できる。ルーシッドによれば、「これまでに販売された中で最速の充電が可能なEV」になるという。
最新デジタル技術満載のキャビン
エアは、2016年に初めて展示されたプロトタイプからほとんどスタイリングを変更されずに市販化に至っており、フロントエンドを一本で結ぶ特徴的なライトはそのまま採用されている。
このライトは、何千もの個別デジタル制御された「ライトチャンネル」からなる「マイクロレンズアレイ」システムを使用しており、明るく正確で柔軟性に優れているという。
長く低いシルエット、曲線を描くボディ、ショートオーバーハングによって空力効率を高める。また、キャビンは細いピラーとガラスルーフによって、「軽くて空気のような感覚」を味わえるように設計されている。標準では5人乗りだが、オプションでリアベンチシートを2席のエグゼクティヴ・チェアに変更することができる。
広さを重視して設計されたインテリアは、ダッシュボード上に浮かび上がるように配置された34インチの曲面スクリーンが主役となっており、従来のシステムよりもはるかに高い5Kの画質を実現している。
また、ドライバーの手の届くところに収納可能な「パイロットパネル」と呼ばれるタッチスクリーンが設置されており、特定のシステムや機能を操作することが可能。
ルーシッドはアマゾンと協力して音声認識ソフトウェア「アレクサ」を導入しており、ナビゲーション、電話、音楽ストリーミング、スマートホーム・コントロールなどに利用することができる。
プラットフォームは、ルーシッド独自のエレクトリック・アドバンスト・プラットフォーム(LEAP)を採用し、パワートレインによるキャビンへの空間的影響を最小限に抑えることで、乗員の居住スペースを確保した。このプラットフォームは、次期SUVモデルにも採用予定で、エアと主要構造のほとんどを共有すると見込まれる。
また、回生バルブ技術を用いたエアサスペンションを採用し、クラストップレベルの乗り心地を実現するという。
搭載されている先進運転支援システム(ADAS)は、「世界初のプラットフォーム」が使われているとのこと。カメラ、レーダー、超音波を含む32個の個別センサー、高解像度LiDARセンサー、先進の高精細マッピングソフトウェアからなるシステムで、レベル2およびレベル3の自動運転機能を持つ。