【旗艦SUVにPHEV登場】アウディQ8 TFSI e クワトロへ試乗 低速域の滑らかな走り

公開 : 2021.10.09 08:25  更新 : 2021.10.11 17:18

Q8に追加された、PHEV版を英国編集部が評価しました。市街地では上質な特長を活かせるものの、大型SUVの場合、総合力ではガソリンターボが有利のようです。

スポーティな見た目のQ8にPHEV登場

執筆:Steve Cropley(スティーブ・クロップリー)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
アウディQ8 60 TFSI e クワトロ・コンペティションの英国価格は、約8万5000ポンド(1292万円)から。今回の試乗車にはオプションが上乗せされ、9万2000ポンド(1398万円)にまで膨らんでいた。

TFSI eとは、アウディがプラグイン・ハイブリッド(PHEV)に与える呼び名。フラッグシップSUVのQ8にも、PHEVが追加されることとなった。今回はその価値を確かめてみたい。

アウディQ8 60 TFSI e クワトロ・コンペティション(英国仕様)
アウディQ8 60 TFSI e クワトロ・コンペティション(英国仕様)

そもそもQ8というモデル自体は、とても強い。先進的な技術を得意とする自動車メーカーが生み出した、最新のハードウエアを搭載したクーペ風ボディの大型SUVだ。見た目は存在感が強いし、競争力の面でも強い。

アウディのモデルレンジではひとつ下に当たる、Q7と比較しても見栄えは良いと思う。全長は66mm短く、全高は33mm低く、スポーティな雰囲気がある。それでいてホイールベースの長さはQ7と同じ。広々とした車内には大人5名が快適に乗れる。

英国でアウディが提供するPHEVとしては7番目のモデルだが、Q8の場合、PHEVの能力にはもう少しを求めたくなる。Q8の得意分野はロングドライブになると思うが、EVモードでの航続距離は、比較的短めの35kmから43kmとなっている。

ターボで加給する3.0L V6ガソリンエンジンに、駆動用の電気モーターと17.9kWhのバッテリーが搭載され、価格も通常のQ8より高い。少なくとも、多くのQ8より燃費は良いのだが。

市街地での滑らかな走りにPHEVのメリット

実際にアウディQ8 TFSI eを運転してみると、市街地での電気モーターによる滑らかな走りに、PHEVとしてのメリットを感じる。EVモードには足りないバッテリー残量になっても、低速域でV6エンジンを効果的にアシストしてくれるのもうれしい。

またハイブリッド・モードでも発進は滑らか。アクセルペダルの操作へ正確に反応してくれる。

アウディQ8 60 TFSI e クワトロ・コンペティション(英国仕様)
アウディQ8 60 TFSI e クワトロ・コンペティション(英国仕様)

Q8 60 TFSI e クワトロのシステム総合での最高出力は461psに達し、四輪駆動のトラクションを活かし、路面を問わずダッシュ力も鋭い。0-100km/h加速は、大きなSUVながら5.4秒でこなすという。

ひどく濡れた路面でも、滑りやすいコーナーでも、確かなトラクションを確保してくれる。ボディロールはほぼ生じず、正確にフラットに抜けていく。アウディらしく、ステアリングホイールへ伝わってくる感触は薄い。

カタログ燃費は34.5km/Lがうたわれているが、560km程を走り込んだ今回の試乗では、平均で12.4km/Lという結果が得られた。WLTP値の燃費は、PHEVにとって有利に働いてしまう。

記事に関わった人々

  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。
  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。

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