【衝撃】海外走る日本車 ボンネットに「浮世絵」 ラッピングより10倍以上むずかしい職人技 世界に数台か
公開 : 2021.10.02 07:05 更新 : 2022.03.25 18:49
海外オーナー所有の日本車。ボンネットには「浮世絵」。職人による高度な技術によって実現していました。
ナゾの「浮世絵」シルビア 投稿
アイルランド在住のDean Robinson(ディーン・ロビンソン)さん(以下、ディーンさん)が所有するS14日産シルビアは非常にユニークで貴重な存在だ。
注目すべきは、ボンネット=エンジンフードいっぱいに描かれた図柄。世界でもっとも有名な浮世絵の1つ、葛飾北斎が1830年代に製作した「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)」である。海外では「The Great Wave off Kanagawa」として知られている。
ディーンさんが9月上旬、SNSの日本製スポーツカーのコミュニティに愛車の画像を投稿したところ、たちまち100件以上のコメントがついた。
「Rad AF !!」
「Sick AF !!!!」
「Insanely cool」
「Yo this is so cool」
「Sickkkkk !!!」
「Absolutely insane !!」
など、いずれも「最高にカッコイイ!」「めちゃくちゃカッコいい!」「これ超ヤバい!!」という意味のコメントをはじめ、値段や入手方法を聞くコメントもあり質問攻めにあっていた。
すでに、かつて発売されていたことを知っている人からは「S14用のボンネットもあったのか!」「86用のは見たことある」などと、驚く声もあがっていた。
一体このボンネットは何なのか? 浮世絵デザインの痛車なのか? 誰がどこでいつ頃、作ったのか? ボンネットにラッピングしたように見えるが、よく見るとラッピングとは違う仕上がりのように見える。
ディーンさんにメッセージを送って取材を申し込んでみたところ、すぐに回答が来た。
実はこの浮世絵ボンネットが非常に希少であることがわかった。
希少 ラッピングではない職人技
ディーンさんの話によると、これはS14日産シルビアのボンネットに富嶽三十六景をプリントしたフィルムをラッピング加工したのではなく、ボンネットごと、浮世絵が描かれたものに交換したのだという。
「7年前に運よく入手することができました。ボンネットはFRP(繊維強化プラスティック)製で取り付けは自分でおこないました」
「ステッカー(ラッピング)ではなく、手織りのファイバークロスにジェルコーティングを施したものをFRPのボンネットに装着しています」
「日本のパーツメーカーがオリジナルで作ったものだと聞いています」
「いくらで入手したかは内緒です(笑)わたしにとっては黄金の宝物を見つけたようなものですから、値段は関係ないのです」
「とにかく希少で非常に美しい、世の中に数台という存在かもしれません」
「多くのJDMファンやシルビアのオーナーがこのボンネットを再現しようとラッピングフィルムに同じ図柄を印刷したり、金属製のボンネットにラッピングしてみたり、いろいろとやっていましたが……。やはりFRP製ボンネットに織り込まれたものとは完成度が違います」
ちなみにディーンさんが住むアイルランドには巨大なジャパニーズスポーツカーシーンがあり、主に後輪駆動のAE86、Sシャシー(180を含む日産シルビアS13/S14/S15系統の車両)、4ドアFRなどのJDMカーの人気が非常に高いそうだ。
また、葛飾北斎の浮世絵など古いアート作品も日本車同様、人気が高いとのこと。
なお、版権が気になる人もいるかもしれないが、2021年現在、著作権は作品の制作年または作者の死後70年と定められている。葛飾北斎が亡くなったのは1849年なので著作権の保護期間は終了している。
非常に貴重なボンネットであることはわかったが、なぜそんなに希少なのだろうか?
ディーンさんが投稿した写真の中には、明らかに日本で撮影されたであろうものもある。
では日本のどんな会社が作ったのだろうか?