【手頃なEVを4年後に】フォルクスワーゲンID.ライフ・コンセプトへ試乗 ID.2の前触れ 後編

公開 : 2021.10.11 19:05

VWが推し進める純EV、ID.シリーズ。今後4年以内に量産されるという、廉価版モデルのコンセプトカーを、英国編集部が一足先に試乗しました。

エコでミニマリストなインテリア

執筆:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
コンセプトカーのフォルクスワーゲンID.ライフ。インテリアデザインも、ボディの見た目を反映するようにミニマリスト。小さなモニターによるメーターパネルが、飛行機の操縦桿のようなステアリングホイールに取り付けられている。

木材が用いられたダッシュボードは、Aピラーを囲み天井まで伸びる。上面はリサイクルのポリエステル素材で覆われ、マット仕上げのアルミニウム・トリムがアクセントになっている。

フォルクスワーゲンID.ライフ・コンセプト
フォルクスワーゲンID.ライフ・コンセプト

インフォテインメント用のタッチモニターは備わらない。製造コストを抑える理由で、スマートフォンの利用を想定している。ダッシュボード表面に磁石で固定できる構造が考えられており、無線通信でナビやラジオなどの機能をクルマが共有するという。

コンセプトカーらしいのが、ダッシュボード上部に埋め込まれた大きなスクリーン。プロジェクターも内蔵され、休憩中にビデオを大画面で楽しめる。前後ともにシートはベンチタイプで、くつろげるラウンジ感を高めている。

ダッシュボード上のアルミ・トリムには、ゲームオンという記載が施されていた。若いデジタル世代への配慮なのだろうか。

シートの背もたれを倒せば、全長2mのベッドも作れる。比較的コンパクトなボディサイズにも関わらず、車内空間にはゆとりがあり、装備も充実し居心地は良いようだ。

ID.3と共有することで低コスト化

木製のダッシュボードに刻まれたスタートボタンを押し、システムオン。ギアセレクターは、ステアリングホイール中央に内蔵されたタッチモニターに組み込まれている。ウインカーのボタンも内蔵され、ステアリングコラムから伸びるバーはない。

ID.ライフの着座位置は高く、優れた視認性を得ている。だが、ドライビング体験が具体的にどんなものなのか、今の段階でのご報告は難しい。あくまでもワンオフのコンセプトカーだ。

フォルクスワーゲンID.ライフ・コンセプト
フォルクスワーゲンID.ライフ・コンセプト

加速力やコーナリングなどの動的性能の検証ではなく、デザインやパッケージングなどが実現可能かを模索する目的で作られている。フォルクスワーゲンのテストコースで、要求の高いセクションを走り抜けるには、技術的な磨き込みが充分ではない。

筆者はこれまで、多くのコンセプトカーを運転させてもらった経験がある。少なくともその多くより、遥かに操縦性に優れると感じたことは間違いない。

シャシー剛性も充分高く、操作系のしっかり感も得ている。初期段階の設計かもしれないが、すでに量産版が採用するプラットフォームをベースにしていることが理由だろう。

サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式で、リアがトーションビーム式という組み合わせ。これは、そのままID.2も採用するそうだ。パワーステアリングは電動機械式で、これもID.3と共有だという。

部品をモデル間で共有することは、手頃な価格の純EVを提供するうえで非常に重要。開発コストを削減できるだけでなく、スケールメリットで価格自体も下げられる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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