【躍進する中国EV】シャオペンP5 600Pへ試乗 2022年に欧州上陸 ライダー搭載

公開 : 2021.10.13 08:25  更新 : 2023.05.01 08:41

広々とした車内に充実の装備。ハイテク志向の純EVとして自律運転に対応し、航続距離も不足なし。欧州上陸が迫るモデルを、英国編集部が評価しました。

世界初のライダー搭載の量産車

執筆:Mark Andrews(マーク・アンドリュース)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
今回試乗したP5は、中国のシャオペンとして重要な意味を持つモデル。コネクティビティに対応した純EVのファミリー・サルーンを探している、比較的若い世代をターゲットとしたクルマだ。

シャオペンはすでに、欧州市場ではノルウェーで販売を開始している。2022年に欧州全土へ販売エリアを拡大する準備も整えたという。このP5は、その戦略をリードするモデルの1つに位置付けられている。

シャオペンP5 600P(中国仕様)
シャオペンP5 600P(中国仕様)

レーザーを用いた三次元センサー、ライダーを搭載した世界初の量産車でもある。スポーティなP7も採用する自律運転技術を搭載し、ソフトウエアさえ準備されれば、テスラが北米で実現しているような自律運転に匹敵する能力を獲得する見込み。

P5のライダーは、フロントスポイラーから離れた、奥の方に搭載されている。うっかりぶつけても、高価なライダーの交換には至らないようにするためだ。

プラットフォームはシャオペン初の量産モデル、クロスオーバーのG3と同じもの。サルーンとしては、P5は比較的スタンスが高い。実際に目にするとデザインは悪くないのだが、写真で見ると少し不自然に見えてしまう理由でもある。

純EVという特徴を活かし、シャオペンはP5へゆとりある車内空間を与えた。P7と比較してホイールベースは短いものの、同等のボディサイズを持つ他社モデルと比較すると、シート周りは広い。特にリアシート側が顕著だ。

フルラットとプロジェクターで映画鑑賞も

P3には、走行速度やナビ情報が表示される、モニター式のメーターパネルがドライバーの正面に据えられている。ライバルのテスラ・モデル3とは雰囲気が異なる。

ダッシュボード中央には、15.6インチという大きなインフォテインメント用タッチモニターを配置。筆者が体験したものの中で、ベストといえる音声認識機能も実装している。

シャオペンP5 600P(中国仕様)
シャオペンP5 600P(中国仕様)

インテリアに用いられる素材や、触れた時の知覚品質は全体的に高水準。だが、人間工学的にはもう少し改善の余地はあるだろう。

フロントシートは電動で位置調整が可能だが、座面高を変えられるのは運転席側だけ。筆者の場合、短距離でも助手席は居心地が悪く感じられた。

車内装備はとても充実している。試乗車だったトップグレードのP5には、メルセデス・ベンツ風のフレグランス・ディスペンサーも備わっていた。他にも、通常はオプションとなるような装備が標準で搭載されている。

シートアレンジも多彩。フロントシートの背もたれは完全に倒せ、リアシートの座面とフラットにすることも可能。内臓のエアポンプで膨らませる、エアマットレスも利用できるという。ヘッドレストも、航空機のようにワイドで優しい。

オプションのプロジェクターをリアシート後方に載せ、ダッシュボード上部に折りたたみ式のスクリーンを取り付けることで、映画鑑賞も可能。シャオペンはこれをフィルム・モードと呼ぶ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・アンドリュース

    Mark Andrews

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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