【300馬力の爽快ワゴン】フォルクスワーゲン・パサートR36(B6) 英国版中古車ガイド

公開 : 2021.10.14 08:25

手頃で快適なファミリーワゴンに爽快なパフォーマンスを求めるなら、パサートR36は好適とする英国編集部。その魅力と注意点をご紹介します。

3.6Lの自然吸気V6エンジンで300ps

執筆:Jack Warrick(ジャック・ウォリック)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
B6世代に投入されたフォルクスワーゲンパサートR36は、英国では知る人ぞ知る、という存在だ。新車当時、R36級の高性能ワゴンは珍しい存在だったが、販売台数はメーカーの期待通りには伸びなかった。

しかし、その希少性のおかげで近年の評価は高い。爽快なパフォーマンスに整ったルックス、乗り手を選ばないような使い勝手の良さで、価値を一層高めている。能力を誇示するように、控えめな見た目を保ったままの例は多くないけれど。

フォルクスワーゲン・パサートR36 ヴァリアント(B6/2008〜2010年/英国仕様)
フォルクスワーゲン・パサートR36 ヴァリアント(B6/2008〜2010年/英国仕様)

パサートにV6エンジンが搭載された最後の世代となったのも、このB6と、そのビッグマイナーチェンジ版といえるB7。R36のボディスタイルは、英国ではサルーンとステーションワゴンのヴァリアントが選べた。

新車当時、1200ポンドほど価格が高かったにも関わらず、支持を集めたのはヴァリアント。今もヴァリアントの方が流通量は多い。ちなみに日本へは、サルーンのR36は導入されていない。

現在の英国で路上を走れる状態のパサートR36は、約125台程度と考えられる。貴重なモデルだ。

パサートR36を聞いたことがなくても、恐らくエンジンはご存知のはず。3.6Lの自然吸気V6ガソリンは、ファンの心を掴んだゴルフR32に搭載されたものと同系。排気量を拡大することで、約50ps増しの300psを獲得している。

0-100km/h加速時間は5.6秒。現代のポルシェボクスターSを凌駕するスタートダッシュを披露した。フォルクスワーゲン自慢の四輪駆動システム、4モーションが生むロードホールディング性と相まって、高次元のパフォーマンスを今も楽しめる。

現存するR36は希少 行動はお早めに

R36には、標準のパサートと差別化するべく特別な装備も盛りだくさん。専用のフロントバンパーにキセノン・ヘッドライト、極太の2本出しマフラー、青く塗られたブレーキキャリパーなど。テールには専用のスポイラーも付く。

車内には、2脚のスポーツシートにRのロゴが入ったマルチファンクション・ステアリングホイールがドライバーを迎えてくれる。足もとにも、Rのロゴがあしらわれたアルミ製のペダルが光る。

フォルクスワーゲン・パサートR36 ヴァリアント(B6/2008〜2010年/英国仕様)
フォルクスワーゲン・パサートR36 ヴァリアント(B6/2008〜2010年/英国仕様)

クルーズコントロールにオートエアコン、前後シートのヒーターなど、上級装備も忘れていない。荷室容量は、ヴァリアントで513L。リアシートを畳めば1641Lに拡大できる。キャンプ道具やマウンテンバイクを運んだ経歴を持つものも少なくないだろう。

優れた実用性も相まって、R36ではヴァリアントの方が人気は高い。一方で希少性ではサルーンの方が上。中古車の取引価格は、同等と考えて良い。

とはいえ新車時3万590ポンド、現在の価値で4万1700ポンド(633万円)した高性能モデルも、中古車ならずっと近づきやすい。ディナウディオのサウンドシステムに19インチホイールを履いたサルーンで、8500ポンド(129万円)という例もあった。

パサートR36の生産期間は短く、2010年にB7世代へ交代するまでの2年間しかショールームに並ばなかった。程度の良いクルマは数も減っている。もし状態の良いものを発見したのなら、早めの行動をオススメしたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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