【精鋭揃いの新会社】ピエヒ・オートモーティブ 新型クーペ市販化に向けテスト開始 2024年発売予定
公開 : 2021.10.06 18:25
有力メーカー出身者が集うスイスの精鋭集団ピエヒは、新型電動クーペ「GT」の本格テストを開始しました。
欧米や中国で発売予定のカムテールEV
スイスのスタートアップ企業であるピエヒ・オートモーティブ(Piech Automotive)は、2019年にジュネーブ・モーターショーで公開したコンセプトカー「マーク・ゼロ」の市販化に向けたテストを開始した。2024年の欧州市場投入を目指している。
ピエヒ・オートモーティブは、フォルクスワーゲン・グループの故フェルディナンド・ピエヒ会長の息子であるトニ・ピエヒが2019年に設立した企業。開発中の新モデルは電動スポーツクーペとして、欧州、中国、米国などグローバルで発売する予定であり、最終的にはSUVとセダンも投入する。
マーク・ゼロの市販化に際し、車名は「GT」となる。ピエヒは、その「時代を超越した」デザインから、「消費サイクルに縛られることはない」と延べている。
いわゆるカムテールスタイルのリアエンドを持つ2ドア2シーターで、サイズは全長4432mm、全幅1991mm、全高1250mmと、ポルシェ911と似たようなプロポーションを持っている。
パワートレインは、2019年の発表から2年間で「大きな革新を遂げた」という。3基のモーター(リアアクスルに2基、フロントに1基)を搭載したGTは、合計600psを発揮し、0-100km/h加速のタイムは3.0秒とされている。
さらに、GTは「従来のスポーツカーのハンドリング」の実現を目指している。バッテリーは、最適な重量配分と低い着座位置を実現するため、中央部にT字型に配置されている。
車重は1800kgを下回り、ポルシェ・タイカンと比べても約500kg軽いことになる。これは、革新的な「パウチセル」技術を採用したバッテリーによるものだ。従来のバッテリー構造よりも軽く、冷却性能も向上し、急速充電が可能になるという利点がある。
中国のDesten社が供給するこのバッテリーの容量はまだ公表されていないが、ピエヒによると、0〜80%の充電をわずか8分で行うことができ、500kmの航続距離を実現するという。
量産に向けた準備も整いつつある
GTの開発責任者であるクラウス・シュミットは、BMWのM部門を約30年間率いた経験がある。現在は彼の監修のもと、完成した最初のプロトタイプで初期テストが行われている。
2022年3月までに2台目のプロトタイプを完成させ、2023年にはさらにもう1台を完成させる予定だ。ピエヒは、「ドイツの高級車メーカーが試行錯誤してきたテストサイクル」に沿ってテストを重ね、2024年に量産を開始すると述べている。
GTの生産は、定評あるメーカーが担当するとのことだが、具体的な企業名は明らかにされていない。GTは初年度に1200台の生産を目指している。
ディーラー網は、最終的に約60か所の「自社店舗」で構成される予定で、アフターサービスについては、さまざまな「有名企業」と提携することになっている。
かつてテスラでも同様の役職に就いていた販売責任者のヨッヘン・ルダットは、「興味を持たれた方は、販売開始前にGTを予約して、有利なスタートを切ることができるようになるでしょう」と述べた。
また、ピエヒはまもなく始まる第2回目の資金調達についても言及している。
最高財務責任者のティモ・カウアーは、「大手銀行UBSに加え、STJ Advisorsなどの国際的なオピニオンリーダーやアドバイザー」の協力を得られたとしているが、現段階では具体的な調達額は不明だ。