【一般道にフィットするカレラ】ポルシェ911 英国のA911号とB992号を走る 前編

公開 : 2021.10.16 09:45  更新 : 2021.10.18 07:53

最新の992型911で、英国のA911号線を目指した英国編集部。片道約230kmの旅で、シンプルなポルシェが備える素性の良さを再確認しました。

最新のポルシェ911でA911号線を走る

執筆:Mike Duff(マイク・ダフ)
撮影:Max Edleston(マックス・エドレストン)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
AUTOCARの英国編集部では、以前からこの手の旅を何度か実行してきた。1990年代には、自動車ジャーナリストのコリン・グッドウィン氏が、当時のポルシェにまつわる数字の付いた道をドライブし、フランスを横断している。

当時のレポートを読み返してみると、そのルートは、期待通り素晴らしいものだったようだ。ポルシェのモデル名と一致する番号の振られた道を走る度に、筆者はそのエピソードが頭に浮かんでいた。

ポルシェ911 カレラ(英国仕様)
ポルシェ911 カレラ(英国仕様)

英国北部のスコットランド地方には、A90号線を北上すると、ミルナソートという町から枝分かれするA911号線がある。頻繁に走るようなルートではない。ここをポルシェ911で走ったら、素晴らしい体験になるのではないか。アイデアが膨らんでいた。

さらに最近、英国のポルシェが広報用の911に、非常にシンプルなナンバープレート「A 911」を与えたと知った。ほぼオプションの載っていない、真っ白な992型のカレラへ。

最新の911の素晴らしさを証明するため、用意したのだという。A911号線を走るのに、これ以上ピッタリのクルマはあるだろうか。実現したいという思いを後押ししたことは、いうまでもない。

A 911のナンバープレートを付けた最新のポルシェ911で、英国のA911号線を走る。こんなシャレの効いたドライブを実現できる機会は、そうそう訪れるものではない。心のままに旅立つことにした。

ポルシェ911が記念撮影をする場所

単なる数字の語呂合わせではある。論理的なルート設定ではないが、宛もないロードトリップの魅力を、筆者は深く理解している。記憶に残る素晴らしい旅の多くは、予定通りのルートから外れた場所へ訪れることをきっかけに生まれている。

案外、道に迷うのも悪くない。常にインターネットと接続されナビが手元にある時代では、道に迷うことも難しいのだが。

ポルシェ911 カレラ(英国仕様)
ポルシェ911 カレラ(英国仕様)

というわけで、A 911のナンバーの911で、英国北部のA911号線を目指した。だが、英国人がスコットランドのお勧めドライブルートとして、A911を挙げない理由をのっけから理解することになる。

道の西の起点は、ミルナソートという小さな町。美しい古城を横目に、リーブン湖に沿って東へ快適に走れる区間が続く。だが、道は平坦でカーブも少ない。景色も比較的ありきたりだ。

風光明媚なスコットランドへ期待するものとしては、平均以下だろう。しかも当日は雨。道も混んでいた。

ほどなくして、同行したフォトグラファーのマックス・エドレストンが、A911号線の標識の前で写真を撮ろうと提案する。バルジェディという村のパブへ立ち寄ることにした。

パブのオーナーが様子を見に外へ出てきた。911が停まっているのに気付き、肩をすくめながら話す。「あなた方が初めてではないですよ。最後でもないでしょうね」。どうやらポルシェ911は、しばしばここで記念撮影をするようだ。

東へ進むほど、舗装の状態は悪くなっていく。交通量は増え、舗装の剥がれた穴の数も増えていく。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マイク・ダフ

    Mike Duff

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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