【ヤリス食い?】トヨタ・アクア絶好調 カブってるのか、いえいえ差別化ぬかりなし

公開 : 2021.10.09 20:25  更新 : 2021.10.15 20:46

新型トヨタ・アクアの販売台数がヤリスに迫る勢いに。似ているようでしっかり差別化が図られている2台を解説します。

ヤリス・シリーズに迫るアクア

執筆:Takahiro Kudo(工藤貴宏)
編集:Taro Ueno(上野太朗)

今年7月に初めてのフルモデルチェンジを受けて新型へバトンタッチしたトヨタ「アクア」。

2021年9月の登録車販売台数ランキングでは1万1137台を販売し、「ヤリス」(ハッチバックだけでなく「ヤリス・クロス」や「GRヤリス」まで含む)に約1500台の差まで迫って2位につけるなど、好調なスタートを見せている。

トヨタ・アクア(左)/ヤリス(右)
トヨタ・アクア(左)/ヤリス(右)    トヨタ

そんなアクアは、プラットフォームからハイブリッドシステムまで全面刷新したメカニズムに関して先だって登場した「ヤリス・ハイブリッド」と共通部分が多く、つまり新型アクアはヤリスとの血の繋がりが濃いモデルだ。

しかし、まったく同じというわけではなく異なる部分もいくつかある。

そこで、アクアとヤリス(この記事において対象となるのはハッチバックのハイブリッドモデル)との違いを整理してみよう。

居住性のアクア、燃費のヤリス

まず異なるのは、車両サイズとパッケージングだ。

アクア:全長4050mm×全幅1695mm×全高1485mm
ヤリス:全長3940mm×全幅1695mm×全高1500mm

トヨタ・アクア
トヨタ・アクア

全幅はどちらも同じだが全高はアクアのほうが15mm低い。

そしてもっとも大きな違いは全長で、110mmもアクアのほうが長いのだ。

ホイールベースはアクアの2600mmに対してヤリスは2550mmと、アクアのほうが50mm長い設計となっている。

何を隠そう、このパッケージングの違いこそが両車の差を明確なものとしている。

最大のポイントといえるのは後席居住性で、「ヴィッツ」からの車名変更を伴うフルモデルチェンジで後席が狭くなったヤリスに対して、アクアは新型なって後席スペースが拡大しているのだ。

足元のゆとりと開放感で明確に差がついている。

従来モデルの後席を比較すると「アクア<ヴィッツハイブリッド」だったが、新型は「アクア>ヤリス・ハイブリッド」となり、立場が逆転。

ちなみに先代アクアの後席が狭かった理由は、燃費性能を向上するために室内空間を犠牲にしてまで空力を磨いたからだ。

従来モデルのバイヤーズガイドでは両車を比較すると「アクアは燃費特化タイプで後席が狭い。だからファミリーユースならヴィッツ・ハイブリッドをおススメする」だったが、新型では「実用性を考えると、ヤリスよりも後席が広いアクアのほうがふさわしい」となる。

そんな立ち位置の変化を如実に表している別の要素もある。それは燃費だ。

従来モデルは、先代アクアの燃費はもっともすぐれたグレードでJC08モード値38.0km/L、ヴィッツ・ハイブリッドは同34.4km/Lだった。

一方で新型アクア(もっとも優れるグレードのWLTCモード値)は33.6km/Lで、ヤリスは同36.0km/L。

アクアよりもヤリスのほうが勝っているのである。

すなわち後席居住性同様に、低燃費を突き詰めたクルマとしてのポジションも入れ替わっているというわけだ。

記事に関わった人々

  • 工藤貴宏

    Takahiro Kudo

    1976年生まれ。保育園に入る頃にはクルマが好きで、小学生で自動車雑誌を読み始める。大学の時のアルバイトをきっかけに自動車雑誌編集者となり、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。はじめて買ったクルマはS13型のシルビア、もちろんターボでMT。妻に内緒でスポーツカーを購入する前科2犯。やっぱりバレてそのたびに反省するものの、反省が長く続かないのが悩み。

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