【Mを冠する純EVサルーン】BMW i4 M50へ試乗 総合543psの四輪駆動 後編
公開 : 2021.10.23 19:05
最新の4ドアクーペ、BMW i4 M50が遂に登場。M4を超える馬力が与えられた、純EVの旗振り役の完成度はいかに。英国編集部が一般道で評価しました。
もくじ
ー既存のBMWオーナーを落胆させない魅力
ースムーズな加速と後輪駆動に近い質感
ー力強い動力性能と魅力的なシャシー性能
ードライバーに対する訴求力は相当に高い
ーBMW i4 M50(欧州仕様)のスペック
既存のBMWオーナーを落胆させない魅力
BMW i4 M50が搭載する駆動用モーターは2基。フロント側は257psと43.7kg-mを、リア側は312psと37.1kg-mを発揮する。システム総合では、M4コンペティションより33psと14.7kg-mたくましい、543psと80.8kg-mを繰り出すことになる。
駆動用バッテリーの実容量は80.7kWh。電圧400Vで稼働し、航続距離は416kmから521kmがうたわれる。試乗車のタイヤはオプションとなるピレリPゼロ、255/30の20インチを履いていた。
サスペンションは、フロントがクファーソンストラット式で、リアがマルチリンク式。これは新しい4シリーズ・グランクーペと共通する。i4 M50の場合はアダプティブダンパーと、リア側にエアスプリングが組まれる。
トレッドはフロントで26mm、リアで12mmワイド化。ボディの前後には、剛性を高めるブレースも追加されている。一方で地上高は、4シリーズ・グランクーペより20mm高められている。
基本的な確認はこのくらいにしておこう。果たしてi4 M50のドライビングフィールには、既存のBMWオーナーを落胆させない魅力的な共通性がある。全体的に、BMWの内燃エンジンモデルと似ていると感じた。
アクセルペダルは、踏み込み量に対するキャリブレーションや、ペダルの重み付け、感度も良好。レスポンスに長ける駆動用モーターと組み合わさり、コンフォート・モードで走る市街地は、低速域でも気持ちイイ。
i4 M50は四輪駆動。だが市街地などでは、リア・モーターだけを動かし後輪駆動として走る。
スムーズな加速と後輪駆動に近い質感
i4 M50が光り出すのが、速度域の高い郊外の道。この領域では前後のモーターが協働するようになり、四輪駆動としての実力を発揮し始める。2.2tを超えるボディを背負っていても、極めて速い。
0-100km/h加速時間は、ブースト・モードで3.9秒。M4コンペティションの3.5秒と比べれば0.4秒のビハインドだが、ポルシェ・タイカンSの3.8秒とほぼ並ぶ。大きな車重が生む慣性を考えれば、御の字といえる。
中間加速も不足はない。駆動用モーターは8000rpmから1万7000rpmの間で最高出力を発揮するという。
トランスミッションはシングルスピードで、加速はスムーズでリニア。高速道路の速度域を超えると、転がり抵抗と空気抵抗が増大し、加速力は徐々に鈍くなっていく。
新しい四輪駆動システムのおかげで、トラクションも突出して高い。シャシーの制御システムと統合され、後輪左右の駆動力を調整するトルクベクタリング機能も備わる。
ステアリングのレスポンスは、従来のMモデル級に即時的というわけではない。だが、カーブの連続する区間では、大きな質量を見事に制御できていることに感心させられた。
スポーツ・モードの動的特性は充分に魅力的。四輪駆動システムは、後輪駆動に近い質感を生むようにプログラムされ、コーナーではトルクベクタリングの効果も実感できる。
フロントモーターもタイヤを駆動するため、オーバーステアの徴候は即座に抑え込まれるようだった。結果、コーナリング特性はニュートラル。頂点を過ぎたらパワーオンで加速し、鋭い脱出へつなげていける。