【性能は変わらず】持続可能なレース用燃料 英プロドライブが開発 温室効果ガス8割減

公開 : 2021.10.16 06:25

レースチームを運営するプロドライブが環境負荷の低いレース用燃料を開発。今年後半にラリーで使用します。

既存エンジンに改造は不要

執筆:Jack Harrison(ジャック・ハリソン)
翻訳:Takuya Hayashi(林 汰久也)

英国のレーシングカー・コンストラクターであるプロドライブ(Prodrive)は、持続可能なレース用燃料を開発した。

「ECOパワー」と名付けられたこの燃料は、英エセックス州の燃料サプライヤーであるコリトン・アドバンスト・フューエル社との共同開発により、8か月の開発期間を経て完成した。

プロドライブ・ハンターT1+
プロドライブ・ハンターT1+

この燃料の主な成分は、第二世代のバイオ燃料(農業廃棄物から製造)と、大気中の炭素を回収して作られたeフューエルからできている。これにより、ECOパワーは「同等のガソリン」と比較して、温室効果ガスの排出量を80%削減することができるという。

オックスフォードシャー州にあるプロドライブ本社で開発されたこの燃料は、「ほぼすべての自動車で無鉛ガソリンの代わりに使用することができる」とされている。同社はすでに、今年のダカール・ラリーで総合5位に入賞したハンターT1を進化させた新型レーサー「ハンターT1+」を、既存のガソリンエンジンに一切手を加えることなく、この燃料で走らせている。

同社はまた、この技術をさらに実証するために、「ほぼ同じ」燃料を一般車両で走らせることも検討している。

プロドライブのデビッド・リチャーズ会長は次のように述べている。

「ダカールとFIAクロスカントリーラリー・ワールドカップは、最も過酷な地形を何千マイルも走破するため、次世代の持続可能燃料の利点を紹介し、従来と同じ性能と航続距離を保ちながら、化石燃料の使用を削減するために一般車両に使用できることを実証するのに最適な環境です」

ECOパワーはまず、今年後半に開催されるクロスカントリーラリー・ワールドカップで使用され、1回の走行距離が1200kmを超える5日間のイベントで実力が試される。その後、プロドライブがサポートするバーレーン・レイド・エクストリーム・チームが1月に開催されるダカール・ラリーで使用することになっている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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