【今へと続く成功】ダットサン240Z(S30型/日産フェアレディZ) 英国版中古車ガイド

公開 : 2021.10.29 08:25

日産(ダットサン)のイメージを世界的に高めた1台が、S30型の初代フェアレディZ(240Z)。安定した値動きの今こそ、買い時だと英国編集部は指摘します。

英国でも高人気だったスポーツカーの1台

執筆:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ロータスに影響を受けたサスペンション構成と、ジャガーEタイプを小さくしたようなスタイリング、0-97km/h加速8.0秒という動力性能。多くの魅力を備えた日産フェアレディZダットサン240Z)は、英国でも登場直後から注目を集めた。

英国仕様のエンジンは、240Zの車名の由来となった2.4Lの直列6気筒。最高出力152psを発揮し、1tをわずかに超えるボディをリアタイヤで押し出す。

ダットサン240Z(S30型/日産フェアレディZ/1969〜1978年/英国仕様)
ダットサン240Z(S30型/日産フェアレディZ/1969〜1978年/英国仕様)

MGBやランチアフルビア・クーペなどが欧州でのライバルとなったが、240Zの製造品質は高く、世界各国で支持を獲得。新車当時の評価も良好で、英国で最も人気の高かったスポーツカーの1台だった。

初代フェアレディZが残した遺産は絶大。後継モデルへ、確かな成功をつないできた。最新のフェアレディZ、400Zが発表されたが、英国には導入されないと聞き悲しい限りだ。

最新モデルは選べなくても、英国市場には選びたい240Zがまだ沢山残っている。状態が良く、過度にモディファイされていない例なら、2万ポンド(310万円)前後で取引されている。

ジャガーEタイプやトヨタ2000GTといった、同時期の希少モデルより遥かに少ない金額で、オールドスクールなFRのクラシックスポーツを入手できる。同じように、レストアする楽しみもある。

真新しいような240Zも、英国では入手できる。ブラッドフォードを拠点とするMZRロードスポーツ社は、ダットサンを見事に再生。最高状態の仕上がりと洗練度を持つ、240Zを提供している。

弱点はボディのサビ 並行輸入という手も

そのレストア作業は、ボディをベアメタル状態にまで戻すことから始まる。ボディを整え、最新の防音材を施し、シャシーを強化。アップグレードされたエンジンが組まれる。だが、オリジナルの240Zと基本的な構成は変わらないという点がミソだ。

完成車の英国価格は9万ポンド(1395万円)とお手頃ではないが、悪いお金の使い方ではないだろう。そんな金額は用意できないとしても、オリジナル状態に近い240Zを探せばいい。

ダットサン240Z(S30型/日産フェアレディZ/1969〜1978年/英国仕様)
ダットサン240Z(S30型/日産フェアレディZ/1969〜1978年/英国仕様)

選ぶ場合は、ボディの構造部分の状態を重視したい。英国の気候は日本と同様にクラシックカーへ優しくない。しかも240Zは特に錆びやすい。一見売値が安くても、サビでボディに穴が空いていて、結果的に高い出費につながる場合もなくない。

英国で人気が高いのは、カリフォルニアなどアメリカからの輸入車。輸送量や関税が掛かっても、傷んだボディの修理代よりは高くない。仕入れを代行してくれる業者に依頼することもできる。

輸入に掛けられる予算を予め決めたら、走行距離と、これまでの維持状態や整備内容を確認。ナンバー取得までの費用を見積もりすれば、後は自身の決心次第。現実的な価格で取引されている今が狙い目といえる。

ダットサンの直列6気筒エンジンは、吹け上がりが気持ちイイうえに耐久性にも優れる。適切に手入れされた駆動系やシャシーと組み合わされれば、年式の新しいスポーツカーへ迫る走りを一般道で楽しませてくれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事