【EVのパイオニア】日産リーフ、後継モデルはクロスオーバー車に 2025年頃登場予定

公開 : 2021.10.19 18:25

日産リーフの後継モデルが、電動クロスオーバーとして2025年頃に登場することが明らかになりました。

ハッチバックからクロスオーバーへ

執筆:Mark Tisshaw(マーク・ティショー)
翻訳:Takuya Hayashi(林 汰久也)

日産は、英国のサンダーランド工場で生産される新型の電動クロスオーバー車が、リーフの後継モデルになることを明らかにした。

同工場に対する10億ポンド(約1570億円)の巨額投資の一環として、新型クロスオーバーを製造する計画が7月に発表された。この新型車はリーフの後継モデルになるだろうと期待されていたが、今回、専務執行役員のギョーム・カルティエがAUTOCARに対し、これを認めた。

日産の新型電動クロスオーバーのイメージイラスト
日産の新型電動クロスオーバーのイメージイラスト

したがって、リーフの後継モデルは、2025年頃にハッチバックからクロスオーバーに姿を変えて登場し、プラットフォームにはルノー・日産・三菱アライアンスのCMF-EVを採用すると考えられる。

その頃には、欧州日産の中核となるモデルラインナップは、ジュークキャシュカイアリアエクストレイルに加えて、リーフの後継モデルとなる電動クロスオーバーの5モデルとなる見込み。

小型ハッチバックのマイクラの後継については、まだ先行きが不透明な状態だ。セダン、ハッチバック、ワゴンなど従来型のモデルを、日産が欧州で単独開発することはない。

「フルラインナップとパワートレインについては、アライアンスが揃えてくれると期待しています」とカルティエは話す。

「マイクラの後継となるエントリーモデルの小型車については、まだ議論の余地があります。キーポイントは、アライアンスの中で日産ブランドから何かを提供するかということです」

同氏はさらに、利益を生むことが最大の課題であり、EVであることは「絶対」であると述べている。

欧州の排ガス規制に対応

電動化に注力するということは、今後10年以内に欧州で導入が予定されているEU7排出ガス規制に対応するための内燃機関技術への投資を行わないことを意味する。

「戦略的に、わたし達は電動化に賭けている」とカルティエは言う。

日産の新型電動クロスオーバーのイメージイラスト
日産の新型電動クロスオーバーのイメージイラスト

「EU7に投資した場合、概算コストは1台あたりの利益率の半分程度で、約2000ユーロ(約26万円)をお客様に転嫁しなければなりません。そのため、今後コストが下がると期待されるEVに賭けるのです」

日産は、2025年までにEVまたはハイブリッド車(eパワー)で全車種を電動化し、2030年までに欧州販売台数の80%を完全EVとする計画だ。

内田誠CEOは、同社が水素技術には投資せず、代わりにバッテリー式EVに注力することを認めた。

「競合他社は、技術面で多くのソリューションを持っています。わたし達はEVを選びました。かつて日産も水素技術を持っていましたが、これまでのところ、EVはわたし達の財産であり、わたし達がやりたいことでもあります」

内田CEOはまた、欧州におけるスポーツカーの将来性については、電動化の必要性からまだ不透明であるとしている。しかし、日産がフォーミュラEのサポーターであることに変わりはなく、フォーミュラEは日産の広範な電動化計画を促進する素晴らしい方法であるため、同レースに参加し続けるだろうと述べた。

また、日産は10年前に初代リーフを発売してEVの世界に大きな影響を与えたにもかかわらず、それを生かすのが遅れているという指摘に対しては、秋以降に日産の次世代EVと電動化計画を発表する予定であると答えた。

半導体部品の不足が自動車生産に影響を与えていることについて、内田CEOは「一歩一歩、改善してきている」としながらも、この危機はまだ終わっておらず、しばらくは続くだろうと述べた。今回の事態は、日産が「サプライヤーとの新しい仕事の取り組み方に適応し、パートナーシップをより強固なものにしなければならない」ことを示しているという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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