ポルシェ911 カレラ4 GTSへ試乗 992型のスイートスポット シニア・カレラ

公開 : 2021.11.04 08:25

911ターボは少々過激すぎる、というドライバーへ向けたカレラGTS。現実環境での速さから、992型のスイートスポットだと英国編集部は評価します。

ターボSに近いGTSのシャシー構成

執筆:Mike Duff(マイク・ダフ)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
先日、最新のポルシェ911 カレラGTSをイタリアで試乗したばかりだが、早速右ハンドル車が英国へ上陸。走り慣れた道で試乗することができた。

舗装の良くない、英国ウェアデール周辺の一般道でステアリングホイールを握ったのは、カレラ4 GTSクーペ。四輪駆動のGTSだ。

ポルシェ911 カレラ4 GTS クーペPDK(英国仕様)
ポルシェ911 カレラ4 GTS クーペPDK(英国仕様)

このGTSはトリムグレードではなく、1つのモデル・グードに相当する。ボディはクーペやカブリオレ、タルガから選択できるし、様々な走りに影響を与えるオプションも多様に追加できる。

オプションやボディスタイルだけでなく、後輪駆動と四輪駆動のどちらを選ぶべきかも、熟考すべきポイントになる。特に、雨が多く雪も降る英国や日本のドライバーにとっては。

四輪駆動の方が、滑りやすい路面でも高いトラクションを確保できる。しかしカレラ4 GTSの場合、後輪駆動のカレラGTSより英国では5580ポンド(86万円)高くなる。車重も50kg重くなる。

試乗車に装備されていたオプションは、後輪操舵システムにPCCBカーボンブレーキ、速度感応式のパワーステアリング・プラスなど。ボディロールを抑えるPDCCダイナミック・シャシーコントロールは付いていなかった。

ポルシェの説明によれば、GTSのシャシー構成や設定は、ターボSに近いという。確かに、通常のカレラやカレラSと乗り比べてみると、荒れた路面での乗り心地は明確に硬い。だがスタビリティは感心するほど。雨が酷くなっても変わらなかった。

感動的なパワーを路面へ展開する能力

サスペンションにはPASMと呼ばれるアダプティブダンパーが備わる。だが、最適なモード選択には悩むかもしれない。

英国では一般的といえる、シャシーには手厳しい凹凸が多く存在する区間では、ノーマル・モードで短い周期の振動をいなしきれずにいた。速度域が上昇するとともに、フロントが軽くなるような感覚もあった。

ポルシェ911 カレラ4 GTS クーペPDK(英国仕様)
ポルシェ911 カレラ4 GTS クーペPDK(英国仕様)

スポーツ・モードを選択すると、硬くタイトになる。そのかわり、シートを介して強い衝撃が腰骨へ伝わってきてしまう。

一方で、カレラ4 GTSの3.0Lツイン・ターボチャージド・フラット6のパワーを路面へ展開する能力は感動的。乗り心地を忘れるほど。

最高出力はカレラSから29psほど引き上げられた479psで、911 ターボと比べれは明らかに弱い。だが、GTSが備える低回転域でのトルクと、8速PDKの電光石火と呼びたいレスポンスが組み合わさり、馬力以上に鋭く感じられる。

標準のカレラからボリュームアップされたエグゾーストノートも、ドライバーの気持ちを鼓舞する。それでいて、圧倒されるような動力性能を引き出すのに、ドライバーが過度に気張る必要はない。

タイトコーナーが連続するような区間では、流暢で機敏な印象が増す。ボディを狙ったラインへ導きやすく、忠実に辿ってくれる。さらに速度や負荷が上昇しても、正確なステアリング・フィールは変わらない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マイク・ダフ

    Mike Duff

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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