キアEV6へ試乗 航続482km 実力派の新モデル登場 今後の展開に高い期待 前編
公開 : 2021.11.05 08:25
上級の電動クロスオーバーとして有力候補になり得る実力を備えると、英国編集部は評価します。
ゴルフGTIより加速が鋭く、EQCより航続が長い
近年のキアには独特のセンスというか、勢いがある。2017年には、ドイツのBMWが支配するスポーツサルーン・セグメントに、3.3L V6エンジンを載せたドリフトマシン、スティンガーを投入している。
オレンジやイエローなど派手なボディカラーで、ディーラーや読者の受け止め方は様々だったと思う。それでも4年後の現在も、腕利きドライバーに向けて販売が続いている。
純EVクロスオーバーのeニロと兄弟関係に当たる、eソウルもプレミアムな位置付けで販売している。ボクシーなボディだが、正直にいってeソウルのアドバンテージは大きくない。売れ行きも、eニロの10分の1程度らしい。
それでもキアの上層部は、ラインナップとして重要な要素を構成していると主張する。当面のモデル存続も明言している。
スティンガーもeニロも、見た目が楽しく、運転も楽しい。数は少ないにしろ、ユーザーは気に入っているだろう。慎重になりがちな量産車の戦略に対して、新鮮なほど明快なアプローチをキアからは感じる。
ドライバーや同乗者を笑顔にすることが、クルマを売るためのマーケティングにつながると思う。キアはシンプルに、それに取り組んでいるのだろう。
そんな韓国の自動車メーカーから、新たな1手が打たれた。最新のフォルクスワーゲン・ゴルフGTIより発進加速が鋭く、メルセデス・ベンツEQCより航続距離が長い、純EVのクロスオーバーが登場した。
構成の多くをアイオニック5と共有
ガソリンエンジン車と遜色のない距離を、一度の充電で走れる。確かにトリムグレードやパワートレインのチョイスで、優劣は変わってくる。だがスペックシートを見れば、その優れた数字に関心してしまうはず。
このEV6は、キアとして初となる純EVの専用モデル。性能は高い方が良い。
キアEV6がベースとするのは、E-GMPと呼ばれるプラットフォーム。英国では数ヶ月前に販売が始まった、ヒュンダイの純EV、アイオニック5も採用しているものだ。こちらは、すっかり市街地では見慣れたモデルになっている。
EV6が採用する電圧800Vの電動システムも、最大239kWの急速充電能力も、電費効率を高める革新的な技術も、アイオニック5と共有している。最大3.6kWの容量まで、駆動用バッテリーの電気を外部供給できる機能まで受け継いでいる。
ツインモーターの四輪駆動が、現状でのEV6の最上位。トリムグレードには、GTラインと上級のGTラインSの2段階が用意される。既に英国での受注は始まっており、大半はGTラインSが選ばれているという。
モデルの頂点は、追って登場するEV6 GTが飾る。黄緑色のブレーキキャリパーが足元を引き締め、最高出力585ps、最大トルク75.3kg-mを発揮するという。ポルシェ・タイカンのオーナーも2度見したくなる数字だと思う。キアの勢いは、ここにも表れている。