【サーキット試乗】新型三菱アウトランダーPHEV 「投資価値は十分」

公開 : 2021.10.28 20:05

新型三菱アウトランダーPHEVにサーキットで試乗しました。一歩先の未来を味わうなら投資価値は十分です。

新型アウトランダーどこが進化?

三菱アウトランダー従来型が登場したのが2012年、同年末にはPHEVが発表。

量産型では2011年に発売されたプリウスPHVに次ぐPHVとして誕生し、電動化の先駆けする一車でもある。

新型三菱アウトランダーPHEV
新型三菱アウトランダーPHEV    花村英典

PHVは「プラグイン」即ち外部充電が可能なハイブリッド車を示すが、アウトランダーPHEVのシステムはもう少しEV寄り。

外部充電システムは普通充電の他に急速充電にも対応する。

EVに航続距離延伸用発電機を搭載するレンジエクステンダーの一歩手前という性格のモデルである。

新型は形式的には従来型を踏襲しているが、クルマを構成する主要部の大半を刷新。

ルノー日産との協業によって開発された軽量高剛性プラットフォームを採用。

PHEVシステムは小型高出力化を狙いモーター/バッテリー/PCU等を新開発。

発電用エンジンは型式では従来型と同じだが、クールドEGRの採用等により広い回転域での効率向上と高出力化が図られた。

安全&運転支援システムはカメラ/ミリ波レーダー併用型のMiパイロットを採用。

制御は三菱のオリジナルだが、ノート系に用いられた最新型プロパイロットと同型システムである。

また、車種構成も変更点の1つで、ガソリン車を整理したが、PHEVのみの構成で2列シート/3列シートを展開している。

新しい時代の「プレミアム」実感

PHEVが採用するハイブリッドシステムはシリーズ式をベースに高速巡航用のエンジン駆動機構備えているのが特徴。

直動機構は変速機を持たずトップギア相応の変速比。ハイブリッド走行時の巡航では電動系をパワーアシストとするパラレル式として振る舞う。

三菱アウトランダーPHEVは、ハイブリッドシステムはシリーズ式をベースに高速巡航用のエンジン駆動機構備えているのが特徴。
三菱アウトランダーPHEVは、ハイブリッドシステムはシリーズ式をベースに高速巡航用のエンジン駆動機構備えているのが特徴。    花村英典

シリーズ式/パラレル式と負荷と速度で切り替えるわけだ。

今回は直動高速巡航が試せる試乗環境ではなかったが、シリーズ式が不利とされる高速巡航燃費改善の決め手だ。

と言うことで試乗中はシリーズ式制御で走行。モーター出力の大幅向上もあって、どっしりとした外観のイメージに似合わず力強い加速性能を示す。

比較すれば低中速域でトルクに厚いが、従来型よりも高速域での加速力低下が減少している。

もう1つの変化は加速の質である。

急発進や急加速で初期に起こる駆動軸の捻れ戻りやバックラッシュ等で起こるトルク変動が少ない。

ダウンシフト的エンブレ回生強化でも同じ。加速度の微細な揺らぎを打ち消すようにモータートルクを制御した結果。

つまり、ノートのeパワーと同様の制御をおこなっている。

ただし、日産からの技術導入ではなく三菱の独自開発。加速度の揺らぎや車体を揺するような感覚が極めて少ない雑味ゼロの加速感は新型の走りの質感向上の要点の1つ。

新しい時代のプレミアムを実感させてくれた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 編集

    上野太朗

    Taro Ueno

    1991年生まれ。親が買ってくれた玩具はミニカー、ゲームはレース系、書籍は自動車関連、週末は父のサーキット走行のタイム計測というエリート・コース(?)を歩む。学生時代はボルボ940→アルファ・スパイダー(916)→トヨタ86→アルファ156→マツダ・ロードスター(NC)→VWゴルフGTIにありったけのお金を溶かす。ある日突然、編集長から「遊びにこない?」の電話。現職に至る。

三菱アウトランダー(3代目)最新情報の前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事