【試乗】新型トヨタ・アクアG 先代との大きな違い 浮かぶトヨタの想い
公開 : 2021.10.28 19:05
新型トヨタ・アクアGに試乗しました。先代から大きく変わった点や、ディテールに現れるトヨタの想いを探ります。
「なんだか違う。けっこう違う」
あれ? なんだか違う。けっこう違う。
フルモデルチェンジした「アクア」に触れてまず感じたのは、パッケージングの変化だ。具体的にいえば、後席居住性である。
トヨタ・アクアの初代デビューは2011年12月。だから歴史としてはわずか10年しかないのだが、にもかかわらず知名度が抜群な理由がそのキャラクターにあるのは間違いない。
当時はまだハイブリッドカーが今ほど一般的ではなかったのだが、そのなかで「ハイブリッド専用のコンパクトカーで燃費は世界トップ。なのに価格は手が届きやすい」という立ち位置が多くの人に共感されたということだ。
デビュー翌年となる2012年の日本国内販売台数ランキング(軽自動車を除く乗用車)は2位、その後2013年から3年間は1位に君臨するなど、瞬く間に人気モデルへ。
世界規模でみると190万台弱がオーナーの手に渡っている。
そんなアクアだが、初代はいわば「燃費スペシャル」なクルマ作りだった。
世界最高の燃費を目標とし、そこへ向けた開発のために犠牲となった部分もいくつか存在。
その1つが後席居住性だ。高速燃費を向上させるために空力抵抗を徹底的に抑えるパッケージングとしたことで車体後方の天井が低くなり、後席が狭かったのだ。
後席居住性は後に登場した同じメカニズムを積むコンパクトカー「ヴイッツ」のハイブリッドモデルに劣っていた。
しかし新型アクアの後席は、そんな先代を受け継いだものではなかった。
大きく変わった新型アクアの足元
足元も頭上も広くなり、同じプラットフォームやパワートレインを使うコンパクトカーでヴィッツの後継車である「ヤリス」のハイブリッドモデルよりも居住性がいいのだ。
先代は「アクアよりもヴィッツのほうが後席は快適」だったのが、現行世代では「後席が快適なのはヤリスよりもアクア」と立場が入れ替わってしまった。
ただし、日産ノートやホンダ・フィットの領域までは届いていない。
アクアを見る目はどうしてもヤリス・ハイブリッドとの違いという視点になってしまうが、運転環境も結構違う。
一般的なフロア設置シフトセレクトレバー&サイドレバー式パーキングブレーキのヤリスに対し、アクアはインパネに置いた電気式シフトセレクター&足踏み式パーキングブレーキと、より今どきなのだ。
ACCが渋滞停止保持機能付きだったり、パーキングアシストは駐車位置さえ指定すればシフト操作から停止までクルマがすべておこなってくれる(これは正確性とスピーディさ、そしてドライバーの操作がまったく必要ない全自動ぶりと3つの驚きがある)など先進的な運転アシスト機能もヤリスより高機能。
コンパクトカーながら技術水準が高いのだ。
ハイブリッドシステムはシステムの概念こそTHSIIを継承するが、「ダイナミックフォース」と呼ぶ新型エンジンをはじめとする構成ユニットは新設計。
「B」グレードを除き走行用バッテリーは「バイポーラ型ニッケル水素」という世界初のタイプを組み合わせている。