新型アウディRS3スポーツバックへ試乗 主役は400psの5気筒ターボ 前編

公開 : 2021.11.06 08:25

アウディ最新のホットハッチ、RS3が登場。度肝を抜く動力性能はそのままに、高次元の操縦性を得たと英国編集部は評価します。

ハイパワーなエンジンを小さなボディに

執筆:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ハイパワーなエンジンを比較的小さなボディに押し込んで、面白いドライバーズカーを作るという手法は、まだ社会的にも許される。欧州では、CO2の排出量に対する自動車メーカー平均での反則金や自動車にかかる税金が、ぶら下がってくるけれど。

アウディの傑作、EA855型と呼ばれる5気筒ターボエンジンは、TT RSやRS Q3といったモデルを生み出した。過去には、国際エンジン・オブ・ザ・イヤーにも輝いている。まだ、その賞は続いている。

アウディRS3 スポーツバック・フォアシュプルング(欧州仕様)
アウディRS3 スポーツバック・フォアシュプルング(欧州仕様)

われわれにも、傑作エンジンを買う機会は残されている。最新のアウディRS3には、電動化技術の時代だとしても、強く惹かれてしまう。

エンジンが主役と呼べるようなホットハッチは、以前はもっと一般的なカテゴリーだった。しかし今では、最後まで生き残ったモデルの1つに、このRS3はなってしまった。

ボンネットの内側に搭載される2.5L 5気筒ターボエンジンは強力なだけでなく、メカニズムとしても特長が濃い。程よく肉付きを増したボディが放つオーラは、チューニング・エンジンへ載せ替えたカスタム・ホットハッチ以上だろう。

筆者がクルマの文章を書く仕事を初めた頃は、フォルクスワーゲン・ゴルフR32やアルファ・ロメオ147 GTAが現役だった。5気筒エンジンのフォード・フォーカスSTや、直列6気筒エンジンのBMW 130iといった興奮するようなモデルも存在していた。

最高出力400ps、最高速度289km/h

近年のラインナップを見ると、ホットハッチはおしなべて4気筒ターボを積んでいる。メーカー毎に注力しているとしても、少々寂しく感じてしまうのは筆者だけだろうか。

感傷に浸っている場合ではなかった。最新のアウディRS3には、5ドアハッチバックのスポーツバックと、4ドアサルーンの2種のボディスタイルが用意される。

アウディRS3 スポーツバック・フォアシュプルング(欧州仕様)
アウディRS3 スポーツバック・フォアシュプルング(欧州仕様)

エンジンは前述のとおり、2.5Lの直列5気筒ターボ・ガソリン。アウディが更なる改良を加え、最高出力400ps、最大トルク50.9kg-mを発揮するに至った。最大トルクは、以前のRS3より2.0kg-mほど強化されている。

他にもRS3のメカニズムには触れるべき点が多いとはいえ、これだけのパワーがあれば、ハッチバックに289km/hの最高速度を与えることは造作ない。ただし、必要なオプションを追加すれば、の話だが。

シュツットガルト近郊のアウトバーンを、そんな高速で走るコンパクトなアウディがいたら、BMW X6 M550iやメルセデスAMG Eクラス・ステーションのドライバーもさぞ驚くことだろう。そのかわり、最新のRS3はかなりお高い。

高性能モデルの開発部隊、アウディ・スポーツは気前よく予算を注ぎ込んでいる。投じられた努力も、エンジンやサスペンションの改良だけに留まらない。トルクベクタリング機能を備える電子制御のリアデフを備える、最新で最速のA3に仕立ててある。

ドライブモードには、ドリフト・モードも追加された。アウディは、そんな呼び方をしていないけれど。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

400psの5気筒ターボ 新型アウディRS3 スポーツバックへ試乗 主役はエンジンの前後関係

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