マツダ2 GT 115psの1.5LマイルドHV版へ英国試乗 クルマのすべてが調和

公開 : 2021.11.07 08:25  更新 : 2021.11.08 17:29

登場から時間の経過したマツダ2を活性化させるべく、欧州市場へ追加された115psを英国編集部が評価しました。

3気筒ターボに挑むマイルドHVのNA 1.5L

執筆:Tom Morgan-Freelander (トム・モーガンフリーランダー
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
周囲とは違ったやり方を取ろうとするマツダの姿勢を、われわれは称賛したいと思う。広島の自動車メーカーは、一般的な考え方や世間の流れに惑わされることはないようだ。

手頃な価格のオープンスポーツカーを生産し続ける、最後のメーカーになろうとしている点でも、ロータリーエンジンをレンジエクステンダーとし、純EVの駆動用バッテリーの大容量化を否定するという点でも。

マツダ2 GTスポーツ・テック 115ps(英国仕様)
マツダ2 GTスポーツ・テック 115ps(英国仕様)

一匹狼的な姿勢は、コンパクトカーのマツダ2にも当てはまる。モデル中期のマイナーチェンジでマイルド・ハイブリッドを獲得したとはいえ、自然吸気エンジンを維持し続けている希少なクルマとなる。

ターボに頼らない高効率化対策は、欧州仕様では上級グレードを除くエンジンに2020年から採用されていた。だが2021年に入り、トップスペックの115馬力仕様のエンジンにも施されることとなった。

1.5Lの4気筒ユニットは圧縮比が高められ、エグゾースト・マニフォールドを改良。燃費を改善しつつ、フォードフォルクスワーゲン・グループなどの3気筒ターボ・エンジンに負けない最高出力の獲得を狙っている。

英国へ入ってくるマツダ2のうち、その新しいエンジンを組み合わせられるのは、今回試乗したGTスポーツ・テックと呼ばれるトリムグレードのみ。4段階のトップに当たる。

標準装備は充実しており、スマートフォンのワイヤレス・ミラーリング機能に駐車時の360度カメラ、アダプティブLEDヘッドライト、ブラインドスポット・モニターなどが備わる。

好バランスな走行フィーリング

インテリアは、少し古く感じる部分と、新しく感じる部分が織り交ぜられている。アナログメーターの上部に投影される、カラー映像のヘッドアップ・ディスプレイなどは、歓迎できる追加機能だ。

一方で、そこそこのサイズの液晶モニターが隣接しているとはいえ、大きなアナログ・スピードメーターは、見やすいものの旧式感が否めない。近年のクルマは、コンパクトカーでも、モニター式のメーターパネルが一般化している。

マツダ2 GTスポーツ・テック 115ps(英国仕様)
マツダ2 GTスポーツ・テック 115ps(英国仕様)

ダッシュボードには実際に押せるハードボタンがふんだんに残され、扱いやすいと感じるドライバーは多いはず。インフォテインメント用のロータリー・コントローラーも有用だが、センターコンソールの後方に位置し、少々手が届きにくい。

ダッシュボード中央には、小さめのタッチモニターが備わる。グラフィックは簡素なものの、アップル・カープレイとアンドロイド・オートには対応しており、機能は充分。

インテリアに用いられている素材の質感は、クラスとしては高水準。シンプルなデザインが、雰囲気を一層高めている。

一般道での走行フィーリングは、好バランスなもの。従来の2と同様に、操作への反応に優れ、ステアリングホイールの重み付けも丁度いい。クルマから受ける印象は一貫性が高く、乗り心地や操縦性など、すべてが調和しているように思える。

しかし限界領域に迫ると、落ち着いた印象が薄れていく。フォード・フィエスタが、まだこのクラスのベンチマークといえそうだ。とはいえ、日常的な運転で実感する場面はないだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    トム・モーガン・フリーランダー

    Tom Morgan-Freelander

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事