ボルボXC60 T8 リチャージへ試乗 システム総合454psのPHEV アップデート

公開 : 2021.11.25 08:25

PHEVのXC60がバージョンアップ。バッテリー容量とモーターの出力を高めた最新版を、英国編集部が評価しました。

システム・アップデートで公道最強ボルボ

執筆:Mike Duff(マイク・ダフ)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
自ら掲げる電動化計画に則って、ボルボは純EVモデルの開発を進めているが、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)へも積極的に取り組んでいる。まだ登場から1年も経たないXC60のPHEV版にも、早速アップデートが図られた。

変更内容の目玉の1つとなるのが、新しいセル構造を採用した大容量の駆動用バッテリーの獲得。従来のXC60のPHEV版が搭載していたバッテリー容量は11.6kWhだったが、変更後は18.8kWhと、50%以上も大きい。

ボルボXC60 T8  リチャージ Rデザイン・プロ(欧州仕様)
ボルボXC60 T8 リチャージ Rデザイン・プロ(欧州仕様)

その結果、EVモードでの航続距離も伸延。駆動用モーターだけで最長75kmを、フル充電なら走れるようになった。さらに、そのリアタイヤを駆動する電気モーターも145psへ最高出力が高められている。

実に、従来から56psもの出力向上となっている。大幅なアップグレードといっていいだろう。

内燃エンジンは、穏やかな方のXC60 T6に積まれるのは4気筒ターボで、システム合計での最高出力は398ps。ターボとスーパーチャージャーが組み合わされた4気筒エンジンを搭載するT8の場合は、システム合計で454psを達成した。

その結果、T8は公道用モデルとして最もパワフルなボルボとなっている。ただし、このパワートレインは他のボルボにも搭載されるから、XC60が最強というわけではない。

今回試乗したのは、そのハイパワーなXC60 T8。確かに内燃エンジンと電気モーターの力が組み合わされると、驚くほどに速かった。

猛進するようにスピードを高める

SUVのボルボXC60は鋭く発進し、猛進するようにスピードを高めていく。ボルボの自主規制、180km/hという最高速度が低すぎると感じてしまう勢いだ。もしクルマの制限を解除すれば、かつてボルボが規制していた249km/hも軽く超えてしまうだろう。

2.0Lのガソリンエンジンは、負荷が高まるとサウンドが明らかに聞こえてくるものの、普通に走っている時の車内は極めて静か。ボルボがピュアと名付けるEVモードを選択すれば、動力性能は下がるとはいえ、パワートレインはほぼ無音の状態になる。

ボルボXC60 T8  リチャージ Rデザイン・プロ(欧州仕様)
ボルボXC60 T8 リチャージ Rデザイン・プロ(欧州仕様)

EVモードのままでも、駆動用モーターの力は日常的な走行にはまったく不足を感じない。そこからさらにアクセルペダルを強く踏むと、内燃エンジンが目を覚ます。

ピュア・モードではワンペダル・ドライブも可能で、とても自然に発進から停止までまかなえる。純EVのC40リチャージと同様に、乗員を前後に揺らすことなく、アクセルペダルの操作だけで滑らかにXC60 T8を止めることができる。

アップデートに伴い、グーグル・ベースとなる最新のインフォテインメント・システムも実装された。ユーザー・インターフェイスのグラフィックは美しく、ナビやエンターテインメント機能も操作しやすいうえ、反応も良好だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マイク・ダフ

    Mike Duff

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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