アレックス・アルボン F1復帰を語る 掴んだ2度目のチャンス、活かせるか

公開 : 2021.11.07 19:45  更新 : 2021.11.08 09:52

一度失ったF1のシートを再び掴んだアレックス・アルボンは、固い決意を胸にグリッドに立とうとしています。

ウィリアムズからF1復帰

F1にたどり着く人は少ない。また、たどり着いた人の中でも、そのほとんどが一度しかチャンスを掴めない。アレックス・アルボンは、最初はトロ・ロッソ(現アルファタウリ)、2019年から2020年にかけてはレッドブルでチャンスを得たが、チームメイトのマックス・フェルスタッペンの存在もあり、そのチャンスを最大限に生かすことができず、2021年は傍観者になってしまった。

しかし、ロンドン生まれ25歳のタイ人であるアルボンは今年、DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)に参戦する傍ら、レッドブルのリザーブドライバーとして一年を過ごし、来年はメルセデスに移籍するジョージ・ラッセルの後任としてウィリアムズに復帰することになっている。当初は1年契約だが、レッドブルは将来のための選択肢を残している。

アレックス・アルボン
アレックス・アルボン

「プランAは常にF1だったけど、それが叶わない場合に備えて選択肢を用意しておいた」とアルボン。「インディカーも見たし、フォーミュラEという選択肢もあった。でも、自分が本当の意味で楽しんでいるのはF1だということがはっきりしたよ」

「メディアではウィリアムズやアルファ・ロメオの話題が多かったけど、その背景では結構自信があった。ヨースト(ウィリアムズのCEOであるカピート)と初めて話した感じは、かなり良かった。F1のすべてのことがそうであるように、一度決定が下されると、すべてがあっという間に起こり、すべてが数週間のうちに終わってしまったんだ」

穏やかな口調のアルボンにとって、これは大きな転機となった。彼は、過去に対戦した人たち(特にラッセル、シャルル・ルクレール、ランド・ノリス)からその才能を高く評価されているドライバーだ。実際、ノリスは、アルボンがカートで活躍していた頃、彼のポスターを壁に貼っていたことがあると認めている。しかし、トロ・ロッソからレッドブルに昇格した2019年は有望なスタートを切ったものの、2020年は2回の表彰台獲得にとどまるなど苦戦を強いられた。

チーム代表のクリスチャン・ホーナーとレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコは、もう1シーズン引き留めることを正当化しようとしたが、アルボンはそれに応えられなかった。その結果、経験豊富なセルジオ・ペレスと交代することになったのだが、彼は今年、フェルスタッペンしか乗りこなせない運転の難しいレッドブルのマシンで苦戦を強いられている。

「今年を見てもわかるように、レースに参加してマシンに慣れ、すぐにスピードに乗れるようになるのはそう簡単じゃない」とアルボンは話す。

「でも、みんな僕を信じてくれた。ヘルムートやクリスチャンとの関係は常に良好だ。大変なときでも彼らは僕をサポートして、今年もF1に参加させてくれた。シミュレーターではとても良い仕事ができているし、新しいタイヤなど、来年のマシンのことも考えている」

「ヨーストと最初に話したときも、彼のサポートと信念をすぐに感じた。このチームとは絶対に一緒にいたいという気持ちになったよ。来年に向けて集中し、彼らと一緒に仕事ができることに喜びを感じている」

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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