ダイムラー ディーゼル車で排出ガス不正か? Eクラスで疑惑、ドイツ環境保護団体主張
公開 : 2021.11.08 19:45
ドイツの環境保護団体は、メルセデスのディーゼルエンジンに不適切な装置が装着されていると主張しています。
Eクラスから不適切なディフィート・デバイス
ドイツの環境保護団体が、ユーロ6に分類されるメルセデス・ベンツEクラスから8つの「ディフィート・デバイス」を発見したと主張したことにより、ダイムラー社にディーゼル車の排ガス操作に関する新たな疑惑が浮上している。
ディフィート・デバイスとは、排ガス検査の時だけ有害物質を抑制する装置のこと。環境保護団体のドイツ環境支援協会(Deutsche Umwelthilfe:DUH)は、2016年モデルのメルセデス・ベンツE 350d Bluetecのテストにおいて、有害な窒素酸化物(NOx)の排出量が最大で500%も急増していることを発見した。
メルセデスの親会社であるダイムラーは以前、尿素SCRフィルターを搭載した4気筒ディーゼルエンジンに、排出ガスを削減するためにアドブルー(尿素水)を使用する「未承認のディフィート・デバイス」が取り沙汰され、77万4000台のディーゼル車のリコールを余儀なくされたことがある。
ダイムラーは当時、自動車メーカーはエンジンの長寿命化のために、ディーゼルエンジンの尿素SCRフィルターをオフにすることが認められていると主張していた。しかし、規則の抜け穴を利用し、テストではクリーンに見せながら、実際の走行では大幅に高い排出量を許容していると批判されている。
DUHは、E 350dの6気筒エンジンで発見されたディフィート・デバイスのうち、6つが尿素SCRフィルターシステムに関連してアドブルーの使用量を減らし、残る2つが排出ガス再循環システムに影響を与えていると主張している。
DUHによると、今回のテストは単一のモデルを対象としているが、同じエンジンを使用している他のモデルにも関連する可能性があるとのことで、メーカーは特定のエンジンの登録データを複数のモデルに使用することができるとしている。例えば、OM642エンジンにBluetec SCRシステムを搭載したモデルラインには、Eクラス、GLC、GL、Gクラスがある。
DUHは、影響を受ける車両の数を明らかにしていないが、ユーロ5および初期のユーロ6a、6bバージョンの6気筒エンジンを搭載したディーゼル乗用車の「大多数」が影響を受けると推定している。
DUHの役員であるユルゲン・レッシュ氏は、「ダイムラー社は、ディフィート・デバイスがエンジン保護のために必要であったと、もっともらしく主張することはできなかった。その理由は、環境と都市生活者の健康を犠牲にして、利益を最大化するためという、単純かつ皮肉なものです」と述べている。
ダイムラーはこれらの疑惑を否定している。