新型スバルBRZ S(6MT)公道で試乗 普段使い、GR86よりBRZに軍配

公開 : 2021.11.09 11:45  更新 : 2021.11.10 11:31

新型スバルBRZ Sに公道で試乗。サーキットではトヨタGR86が先行。公道ではスバルBRZの印象が良好です。

GR86一本勝ちは本当? サーキットの功罪

新型スバルBRZのステアリングを握るのは今回で2回目。

最初は今年7月に袖ケ浦FRWで開催されたトヨタGR86との共同試乗会でドライブしている。

新型スバルBRZ S(6MT)
新型スバルBRZ S(6MT)

試乗会ではBRZの後にGR86をドライブした。BRZの第一印象は上々。排気量アップによるパワーをはっきりと感じられたし、ボディのしっかり感とアシのしなやかさのメリハリも先代を確実に凌駕していたからだ。

ところがBRZのあとにGR86に乗ったら、BRZの好印象はあっさりと上書きされてしまった。

GR86はタイヤのインフォメーションをドライバーに伝える能力、そしてリアの滑り出しのスピードを自在に操れる驚きのドライバビリティを備えていたのだ。

まるで、おいしい素麺の後に濃厚なとんこつラーメンを食べてしまった感じ?

7月に書いたGR86/BRZの原稿はだから「もしどちらか迷ったらGR86の方がお薦めだ。気さくに対話ができる分だけ長く楽しめると思う」という一文で締められているのだ。

だが本当にGR86の一本勝ちなのだろうか? サーキットじゃないと絶対わからないことも多々ある。

だがそれと引き換えに、繊細な印象や快適性といったものが掻き消されてしまうことは筆者も認識している。

もう一度、素麺だけをニュートラルな舌で味わってみる、じゃなくて、新型BRZを公道でじっくり試乗してみるとどうなのか?

というのが今回のテーマなのである。

オトナのスポーツカーは意外なほど静か?

スバルの広報車は東京の恵比寿で借りる。ビルの前は道幅が狭く、路駐車両も少なくない。そんな雑踏に繰り出した瞬間にボディが小さいことのありがたみを感じた。

水平対向エンジンの振動の少なさ、アイドリング音の静かさも気に入った。

新型スバルBRZの水平対向4気筒2387ccは、235ps/7000rpmと25.5kg-m/3700rpmを発揮する。兄弟車のトヨタGR86と同値。
新型スバルBRZの水平対向4気筒2387ccは、235ps/7000rpmと25.5kg-m/3700rpmを発揮する。兄弟車のトヨタGR86と同値。

交差点からのスタートダッシュ、1速から2速へ素早くシフトアップするような場合でもなお、車内は驚くほどの静かさが保たれている。

輸入車のスポーツモデルは、高回転まで回さなくてもエンジンスタートの第一声がうるさかったり、音のアピール過多が当たり前になっている気がする。

その点、新型BRZはエンジンをちゃんと回した時だけ、スポーツカーらしい排気音が響いてくる。

といってもこれはアクティブサウンドクリエイターという機能でスピーカーからそれらしい音をプラスしているのだけれど、いやならオフにできるという選択肢がありがたい。

乗り心地も素晴らしいと感じた。セダンのようにフカフカした柔らかさではなく、伝えなくてもいい入力をアシの動きはじめの部分で吸収するスポーツカーらしい乗り心地の良さなのだ。

BRZよりもリアのスプリングを硬く設定しているGR86は、普段使いのスピード域で若干だが快適性が削がれるはずだ。

また今回の試乗ではウェットの高速道路を走るシチュエーションもあった。

BRZがGR86よりアンダー方向(安定感高め)であることを理解していたこともあり、リラックスしてペースを保つことができたのだった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    宮越孝政

    Takamasa Miyakoshi

    1973年生まれ。スタジオワークを中心としたカメラマンのアシスタントを数年経験後、自動車雑誌の編集部員として、見習いに。編集部員時代に鍛えられた事は長距離の自走での移動と早朝ロケで早起きすること。その後、独立し、フリーランスとなる。クルマと関わりを持っていられることに幸せを感じる。愛車はルノー・カングー、日産スカイラインGT-R(R32)
  • 編集

    上野太朗

    Taro Ueno

    1991年生まれ。親が買ってくれた玩具はミニカー、ゲームはレース系、書籍は自動車関連、週末は父のサーキット走行のタイム計測というエリート・コース(?)を歩む。学生時代はボルボ940→アルファ・スパイダー(916)→トヨタ86→アルファ156→マツダ・ロードスター(NC)→VWゴルフGTIにありったけのお金を溶かす。ある日突然、編集長から「遊びにこない?」の電話。現職に至る。

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