日産パトロール(サファリ/Y61型) 英国版中古車ガイド 高能力オフローダー

公開 : 2021.11.18 08:25

新型トヨタ・ランドクルーザーが発表されましたが、日産の実力モデル、サファリをの魅力を英国編集部が振り返ります。

実用的で堅牢な大型オフローダー

執筆:John Evans(ジョン・エバンス)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
1990年代、筆者はSUVやキャンピングカーの専門誌の編集に携わっており、日産パトロール(サファリ)との良い思い出が沢山ある。この大きなSUVで、沢山のキャンピングトレーラーを牽引したものだ。

日産パトロールの歴史は1951年までさかのぼるが、筆者が乗っていたのは、第5世代に当たるY61型だった。英国では1998年から2009年まで販売されており、途中、2005年にフェイスリフトを受けている。

日産パトロール(サファリ/Y61型/1997〜2016年/英国仕様)
日産パトロール(サファリ/Y61型/1997〜2016年/英国仕様)

日本市場ではサファリ、海外市場ではパトロールと呼ばれ方は違うものの、日産ファンの間ではY61型と呼ばれることが多いクルマだ。呼び名はどうあれ、ラダーフレームのシャシーに四輪駆動システムを組み、大きな7シーターのボディを搭載したSUVに変わりはない。

筆者が乗っていたパトロールは英国仕様で、エンジンは2.8Lの直列6気筒ディーゼル。インタークラー・ターボが付き、トルクが太く滑らかに回転した。四輪駆動システムも、これ以上不要なほど機能的だった。

MTを上手に操作すれば、そこそこ素早く加速させることもできた。車重は2335kgもあり、牽引重量は3500kgまで。大きなキャンピングトレーラーも問題なく引っ張ることができる、頼もしいクルマだった。

安定性に優れ、運転席からの視界も良好。ただし、観音開きのテールゲートには片方しかワイパーが付いておらず、条件によっては後方を確認しにくい時もあった。

海外の支援活動にも活躍

ステアリングホイールの感覚はウールのように曖昧で、操縦性は鈍重。ブレーキはスポンジーで、洗練度が高いとはいえない。装備は充実しているが、Y61型パトロールはシンプルで飾らない、四輪駆動の実用車としての色が濃い。

そのおかげで、海外の支援活動にも日産パトロールは活躍した。当時はニュース映像で、白く塗られたY61型が頻繁に見られたものだ。受けるイメージは、様々だったかもしれないが。

日産パトロール(サファリ/Y61型/1997〜2016年/英国仕様)
日産パトロール(サファリ/Y61型/1997〜2016年/英国仕様)

多くの英国人は、大型のオフローダーとしてランドローバーを選んだ。信頼性を重視する向きは、トヨタランドクルーザー三菱ショウグン(パジェロ)を。日産パトロールは、あまり主流の選択肢にはならなかったといえる。

Y61型パトロールには、ロングとショートのホイールベースが用意されていたが、今回取り上げるのはロング版。現在英国で流通しているパトロールに、ショート版は存在しないようだ。

英国に残っているY61型は多くない。すべての世代を通して、路上を走れる状態のパトロールは1000台ほど。中古車サイトを探しても、数台しか見つからない。

英国での中古車価格は、3500ポンド(54万円)から1万ポンド(155万円)の間。殆どが3.0 Diと呼ばれる仕様で、4気筒エンジンが158psと36.0kg-mを発揮する。2000年に、131psの2.8 TDからバトンタッチしている。

2003年にショート・ホイールベースのパトロールが英国では販売が終了。トリムグレードが見直され、ロング版にフォグライトとレザーシート、サンルーフが標準装備となったSVEが登場している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事