貴重なラリーカー多数 アールキュリアル・スュル・ル・シャン・オークションを解説

公開 : 2021.11.14 19:25  更新 : 2022.11.01 08:52

シトロエン、スバル、日産の希少なラリーカーが、仏のオークションに登場。落札、流札の結果をまとめました。

新旧ラリーマシンが勢ぞろい

フランスを代表するオークションハウスであるアールキュリアル・モーターカーは、レトロモビルやル・マン・クラシックでの公式オークションを開くことで知られている。

2021年は、2月にパリジェンヌ・オークション、7月にモナコ2021という2回以外は開催を見合わせるなど、思うような活動ができないでいた。

アールキュリアルが、7月以来のオークションをパリで開催。往年のレアなラリーカーが多数出品。競売の結果を解説しよう。
アールキュリアルが、7月以来のオークションをパリで開催。往年のレアなラリーカーが多数出品。競売の結果を解説しよう。    アールキュリアル

コロナ禍の規制が段階的に緩和されたこともあり、アールキュリアルは満を持して10月末にパリ本社内で「オートモビルス・スュル・ル・シャン」オークションを開催した。

休止中にストックされていたコレクター放出のクラシック・シトロエンや、グループ4からグループAまでラリーカーを始めとする古今東西97台の趣味車が用意されている。

今回の主役はプロドライブが製作したスバルインプレッサ・グループAワークスカーだ。オレンジも鮮やかなアストン マーティンヴァンテージヴァンキッシュの限定車も目を引いた。

クラシック・モデルでは1968年から50年間も納屋にしまい込まれていた1903年製ド・ディオン・ブートンが大きな注目を集める。

BX 4TCエボリューション・ワークス登場

ラリーカーの主役は、プロドライブが製作したスバル・インプレッサ・グループAワークスカー。

アリ・ヴァタネン、コリン・マクレーがドライブしたヒストリーを持つ。

アールキュリアル

このほかアルピーヌルノーA110のワークスカーに加え、ルノー5マキシ・ターボのホモロゲーションモデルで排気量も異なるタイプ8221も貴重な1台だ。

なかでも筆者が注目したのはシトロエンBX 4TCエボリューション・ワークス・グループBカーだ。4TCのロードカーはたまに姿を見せるが、ワークス・エボリューション・モデルは初出品と思われる。

名手ジャン・クロード・アンドリューがドライブし1986年のスウェディシュ・ラリーで6位入賞したマシンそのものというヒストリーが強力なポイントとなる。

シトロエンは1925年5HPタイプCから2012年C6 V6 HDIまでの15台が用意された。変わったところではアルピーヌ・ルノーA110をメキシコでノックダウンされたディナルピンA110 1100 VAが姿を見せた。

それでも最高落札額はフェラーリ

オークションを終えてみればマニアックなモデルはあらかた落札され、流通数の多い入手しやすいモデルが残る結果に。

落札率は70.5%とまずまずまずだった。

1972年フェラーリ365GTB/4デイトナ・スパイダー・コンバージョン(6500万円)今回の最高額落札車。
1972年フェラーリ365GTB/4デイトナ・スパイダー・コンバージョン(6500万円)今回の最高額落札車。    アールキュリアル

ここで最高落札額を記録したのは1972年フェラーリ365GTB/4デイトナ・スパイダー・コンバージョンの6500万円だった。改造のスパイダーということもあり、ベルリネッタ+αの額で終えている。

ここに続いたのは、2017年アストン マーティン・ヴァンキッシュ・ザガート・クーペ(5708万円)。

そこに、1986年シトロエンBX 4TCエボリューション(5549万円)が続いた。

ラリーカーは好調で、1973年アルピーヌ・ルノーA110グループ4ワークスカー(3488万円)、1986年日産240RSグループB(2854万円)、1985年ルノー5ターボ2 セリエ8221(1190万円)と高額落札された。

注目されていた1993年スバル・インプレッサ・プロドライブ・グループAは、発表された予想落札額が5985~8645万円と高額だったため最低落札額に届かず終えてしまった。

今回最古のモデルとなる1902年ド・ディオン・ブートンは、レストアベース状態ながら476万円まで値を上げた。15台出品された新旧のシトロエンは、高額だったDS23ie以外の14台が落札された。

日本車ではホンダS800は、フランスに最初に上陸したうちの1台で、コンディションの良さから入札が続き予想落札額以上の524万円まで値を上げて決着した。

記事に関わった人々

  • 執筆

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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