トヨタGR86とスバルBRZ 公道で比較 誰でも乗ればすぐわかる味付けの差

公開 : 2021.11.18 11:30

トヨタGR86とスバルBRZを公道で比較。乗れば誰でもすぐわかる差だと筆者(桃田健史)はいいます。

先回7月との試乗状況の差

トヨタGR86とスバルBRZを乗り比べてみた。

場所は、神奈川県箱根周辺の一般道路である。

トヨタGR86(上)/スバルBRZ(下)
トヨタGR86(上)/スバルBRZ(下)    山本佳吾(上)/宮越孝政(下)

筆者にとって、2モデルの乗り比べは今回が初めてではない。

2021年7月、袖ケ浦フォレストレースウェイ(千葉県袖ケ浦市)でじっくり乗っている。

その際、房総半島に大きな雨雲が押し寄せており、袖ケ浦はゲリラ豪雨に見舞われた。

試乗の時間もちょうど雨が強まった時で、第1コーナーや各種ヘアピンの内側には大きな水たまりができている状態。

そこに思い切って突っ込みながらの走行となった。

また、最終コーナー手前には、起伏のある上部から斜め下部にかけて雨水が川のように流れており、80km/h程度で通過するとクルマ全体が進行方向左側に車幅1つ以上も横っ飛びするような路面状況だった。

新型コロナ感染症予防の観点から、プレゼンテーションは事前に動画で視聴した上で、袖ケ浦フォレストレースウェイのピットエリアには各種の技術展示をみることができた。

また試乗後にはトヨタGRの製品企画、またスバルの商品企画の統括者らと共に感染対策を十分した状態で意見交換することもできた。

その袖ケ浦でのGR86とBRZの比較試乗で、筆者にとって最も印象に残ったのは
「GR86は動きの先読みがしやすい」という点だった。

その点について、トヨタGRの関係者は……。

技術的な差は理解すれど……

トヨタGR86の動きの先読みのしやすさ「フロントの差が大きいのではないか?」(トヨタGR・車体/サスペンション開発関係者)という見解を示した。

フロントのハウジングの素材が、GR86は鋳鉄製であるのに対して、BRZはアルミである。

フロントのハウジングの素材が、GR86は鋳鉄製であるのに対して、BRZはアルミ。リアのスタビライザーの取付方法や、サスペンションのバネレートやショックアブソーバー、さらにエンジンを制御するECUのマッピングなど様々ある。
フロントのハウジングの素材が、GR86は鋳鉄製であるのに対して、BRZはアルミ。リアのスタビライザーの取付方法や、サスペンションのバネレートやショックアブソーバー、さらにエンジンを制御するECUのマッピングなど様々ある。    前田惠介

この重量差と路面からのステアリングを通じてドライバーに伝わる路面状態に関する情報の入力の差が、筆者が感じた土砂降りで水たまりの中をガンガン走るサーキット走行でも「先読みがしやすい」と感じた要素の1つだった、といえるだろう。

そのほかにも、GR86とBRZの技術面での差は、リアのスタビライザーの取付方法や、サスペンションのバネレートやショックアブソーバー、さらにエンジンを制御するECUのマッピングなど様々ある。

ウエット状態のサーキット走行では、そうした差をはっきりと実感することが難しかった。

また、袖ケ浦フォレストレースウェイ走行中に路面がドライの状態も若干あったのだが、オンとオフがあるていどはっきりしたアクセルワークや、ステアリングを切る速度が一般道路に比べると早いなど、一般道路とサーキットでは、クルマに求められる出口戦略が違うため、GR86とBRZとの差を、開発チームたちが想定していたほど、メディア側に伝わらなかったのではないだろうか。

だからこそ、今回の一般道路での試乗の意義が大きい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

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