メルセデス・ベンツEQA 詳細データテスト 既存車ベースゆえの妥協 走りはほどほど 価格は高い

公開 : 2021.11.27 20:25  更新 : 2021.11.28 12:43

メルセデスEQのエントリーモデルは、ガソリン車のプラットフォームがベース。FFレイアウトに起因する妥協の跡が航続距離やトラクション、パッケージングなど随所に見られますが、価格は高め。充電性能にも不満が残ります。

はじめに

メルセデス・ベンツのEVブランドであるEQは、突如として数々のモデルを投入した。中型SUVのEQCが登場したのは2年以上前だが、それからしばらくは沈黙を続けていた。その間、ライバルたちのゼロエミッション攻勢が強まっていたにもかかわらずだ。

ところが、最近になってそのラインナップ拡充が加速した。ミニバンタイプのEQVが英国に上陸し、小型SUVのEQBと大型サルーンのEQSは右ハンドル投入間近だ。しかし、それらのどれをとっても、EVの販売台数を大幅に伸ばせるだけのポテンシャルで、今回のテスト車に敵うものはないだろう。

テスト車:メルセデス・ベンツEQA 250 AMGライン・プレミアムプラス
テスト車:メルセデス・ベンツEQA 250 AMGライン・プレミアムプラス    JOHN BRADSHAW

その点の大本命と見込まれる、メルセデスEQのエントリーモデルであるEQAが、今回のテスト車だ。2020年春に市販モデルが登場し、今年一年で英国の路上で見かける機会が増えた。パフォーマンスとコスト、そして市場投入時期との妥協が絶妙なクルマだと、メルセデスは形容する。

こういうことは、メルセデスのようなプレミアムブランドでは珍しい。いつもなら、デザインもエンジニアリングも妥協がないと思われることを望み、新型車をそう紹介するものだからだ。

しかし、いまは自動車業界にとって滅多にない挑戦のときだ。マーケットをリードするコンパクトEVを、いち早くショールームに並べようというのであれば、いつもと違うアプローチを取るのにはもってこいのタイミングなのかもしれない。

その妥協の中でも特筆すべきなのは、プラットフォームだ。競合モデルの多くとは異なり、既存の内燃機関モデル用アーキテクチャーをベースにしているのである。

詳細は追って説明するが、簡単にいえば、EQAは、AクラスBクラス、CLAやGLAと、ベースを構成するコンポーネンツを共有している。そして、それらと同じドイツのラスタット工場で生産される。

そのため、メカニカルレイアウトは、アウディQ4 Eトロンなどとまったく違い、むしろエンジン車で見慣れた前輪駆動を採用しているのだ。はたしてそれは、この急激に変化し、重要度が非常に高まっているクラスで、新たなベンチマークとなりうるのだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。

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