どれが好き? クルマ業界のブーム 35選 前編 実用的なアイデアと見た目だけのもの

公開 : 2021.12.04 06:05

これまでクルマ好きの間で見られた「流行」を紹介。今でも人気のものもあれば、消えてしまったものもあります。

クルマの世界の流行り廃り

外装デザインからグリルガードまで、クルマの世界にはさまざまな流行があった。ファッションとして広く浸透することもあれば、あっという間に見られなくなったものもある。

実用性重視、ジョーク、おしゃれ目的……数えればキリがないが、今回取り上げるトピックのうちのいくつかは今も存続している。

マットペイント

マットペイントは、レーダー波を反射せずに吸収することでステルス性を高めるものとして、何十年も前から軍事利用されてきた。最近では市販車にも採用されているが、人目を引くのが目的という点では軍用と対照的だ。

BMWフォードは、第2世代のフォーカスRSとE90型M3にそれぞれ特別仕様車を設定し、マットペイントの流行にいち早く乗り出した。BMWは、「フローズン・エディション」車にこの塗装を採用したが、洗車するだけで仕上がりが損なわれてしまうため、手入れが難しいことが判明した。また、鳥の糞をすぐに取り除かなければならないという問題もある。こうした煩わしさから、主流になることはないだろう。

マットペイント
マットペイント

スピナーホイール

スピナーホイールは、米西海岸のカスタムカー文化の中で生まれたもので、停車していても動いているように見せることができる。内側のホイールが止まっていても、外側のローターが回転し続けるのだ。

多くの流行がそうであるように、一時的に脚光を浴びただけで自然消滅してしまったのは、これに代わる別の流行が登場したからである。停車中のクルマが動いているように見えてしまうことや、高速走行時にスピナーが外れる可能性があることなどから、安全性を指摘する声もあった。

スピナーホイール
スピナーホイール

モータースポーツ風のウイング

モータースポーツの黎明期から、多くのメーカーがレーシングカー・スタイルを量産車に取り入れてきた。その中でも、モータースポーツ風のリアウイングは永遠のトレンドとなっている。レーシングカーのウイングが大型化・複雑化したのに伴い、アフターマーケットで販売されるものも多様化してきている。

ダウンフォースとエアフローを最適化するために入念に設計されたレース用ウィングと、一般的なホットハッチの後部に取り付けられているものとでは、大きな違いがある。ランボルギーニカウンタックに導入されたリアウイングもそうだったが、後者はほとんど重量と空気抵抗を増やすだけである。

モータースポーツ風のウイング
モータースポーツ風のウイング

CBラジオ

市民ラジオが全盛だった1970~80年代、海外の子供の会話は「ブレーカー、ブレーカー・ワン・ナイン」で始まることが多かった。この流行は、「コンボイ」や「トランザム7000」など、トラック輸送を題材にした映画から生まれたものである。米国の大型トラックドライバーのスラングという神秘的な世界が人気を呼び、突然、乗用車のオーナーが参加するようになったのだ。

1990年代に入って手頃な価格の携帯電話が登場したことで、車載のCBラジオは廃れていったが、多くのトラックドライバーは便利なコミュニケーション手段としてCBラジオを使い続けた。

CBラジオ
CBラジオ

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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