BMW 4シリーズ 420d グランクーペ 新型へ試乗 スポーティ✕実用性✕ルックス

公開 : 2021.12.09 08:25

一新した4シリーズ・グランクーペ。スポーティな走りと流麗な見た目、高い実用性の掛け合わせを英国編集部は評価します。

クーペ風のスタイルにワゴン級の実用性

BMW 4シリーズの4ドアモデル、グランクーペが2世代目へモデルチェンジを果たした。初代の発表当初、クーペボディの4ドアモデルというコンセプトに、違和感を抱いたのは筆者だけだろうか。

実際は、クーペ風のスタイリングとテールゲートが生むステーションワゴン級の実用性という組み合わせに、多くの人が誘引されたようだ。売れ行きは好調で、3シリーズと4シリーズの進化に合わせて、グランクーペも追従したのは当然といえる。

BMW 4シリーズ 420d xドライブ・グランクーペ Mスポーツ(欧州仕様)
BMW 4シリーズ 420d xドライブ・グランクーペ Mスポーツ(欧州仕様)

2代目の4シリーズ・グランクーペは、先代よりだいぶボディサイズが大きくなった。兄弟モデルと同様に。長さは143mm、幅は27mm、高さは53mmも成長している。最新の3シリーズと比べても、ひと回り大きい。

荷室容量自体は3シリーズ・サルーンより10Lほど小さいが、実用性では上。傾斜したルーフラインから続く、大きなテールゲートのおかげだ。とはいえ、大型犬を後ろに乗せたい場合はステーションワゴンのツーリングを選んだ方が良いだろう。

ただし、荷室フロアは完全なフラットではない。テールゲートは電動だが、リアピラーは太く、斜め後方には小さくない死角が生まれている。

ドアハンドルは、4シリーズ・クーペには備わらない、ボディ面と一体になったフラッシュタイプ。クーペより短めのドアを開けば、ゆとりのある車内空間が広がっている。大人4名でも快適に過ごせそうだ。

グランクーペにはディーゼルが好適

フロントシート側は、基本的には3シリーズなどと同じで、見慣れた印象を受ける。BMWのインテリアデザイナーは楽だったかもしれないが、そもそもデザインや設えは良い。豪華な雰囲気が漂い、同じでも構わないと思う。

欧州仕様のグランクーペはMスポーツが標準となるため、ヒーター内臓のレザー張りスポーツシートに、インチアップしたインフォテインメント用モニターが据えられる。モニター式のメーターパネルも、3ゾーン・エアコンも標準装備だ。

BMW 4シリーズ 420d xドライブ・グランクーペ Mスポーツ(欧州仕様)
BMW 4シリーズ 420d xドライブ・グランクーペ Mスポーツ(欧州仕様)

リア側はクーペと違い、40:20:40の分割で倒せる背もたれが付いたベンチシートが用意される。ルーフが傾斜し、身長が185cmくらいある人の場合は、髪の毛が天井に擦れてしまうだろう。

欧州仕様のモデルグレードは、先日試乗したトップグレードのM440i xドライブを除くと、ガソリンが420iと430i、ディーゼルが420dという3種類。今回試乗した420dはマイルド・ハイブリッドも採用し、後輪駆動のほかに四輪駆動のxドライブも選べる。

BMWによると、420iがグランクーペの売れ筋になると考えているようだ。しかし実際に味わってみたところ、中回転域での太いトルクと優れた燃費性能で、420dの方がクルマの性格には適していると感じた。

4シリーズ・グランクーペは、穏やかにスポーティな走りを楽しむような、ファミリーカーだ。2ドアのスポーツクーペとは異なる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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