30歳以下のコンクール・デレガンス 前編 スピットファイアMkIII/BMW Z1 ほか
公開 : 2021.12.19 07:05
クルマ好きの若返りを目指すべく、英国で開催されたコンクール・デレガンス。英国編集部が参加者へ話を伺いました。
もくじ
ー若返りを目指すクラシックカーの世界
ーシュタイアー・プフ500(1962年)
ートライアンフ・スピットファイアMkIII(1969年)
ーBMW Z1(1989年)
ーローバーP5B クーペ(1968年)
若返りを目指すクラシックカーの世界
クラシックカーという趣味は、世界中で楽しまれている奥深い世界だ。しかし若い世代にとっては、情熱を持っていたとしても、少々門戸を叩きにくい世界でもある。
その傾向は、クルマのコンディションや経歴が重視される、コンクール・デレガンスで特に当てはまるといえる。運転免許を取って日の浅い人からすれば、老人クラブの1ジャンルに見えているかもしれない。
保守的な見られ方を変えようとする動きも、なくはない。だが、期待通りの成果が得られていないことは事実だ。
そんななかで英国では、2021年にアンダー30クラス(30歳以下限定)という枠で、コンクール・デレガンスが開催された。次世代の自動車エンスージァストのために創設したと、主催者も認めている。
これはロンドン南部、テムズ川沿いのハンプトンコート・パレスで毎年開かれる、コンクール・デレガンス・イベントの1つとして設けられたもの。様々なクルマがエントリーし、若いクラシックカー・ファンの発掘につながったようだ。
アンダー30クラスで総合優勝を掴んだのは、ピアーズ・トリベルヤン氏が大切にする1921年式ヴォグゾール30-90 Eタイプ・ツアラーというビンテージモデル。しかし、1995年のメルセデス・ベンツSL320など、モダンクラシックも数多く出展された。
クラシックカーとなると、ご高齢の方へ話を伺うことが多い。今回は、将来有望な参加者へのインタビューをご紹介させていただきたい。
シュタイアー・プフ500(1962年)
オーナー:ヘンリー・リスニー氏
来場者の多くがフィアット500と勘違いしていた、真っ赤な1台があった。「これは1962年式のシュタイアー・プフ500。フィアットではありません」。と、笑顔で説明してくれたのは、オーナーのヘンリー・リスニー氏。
「シュタイアー・プフ社は、フィアットから500の生産権を買取ったダイムラー社がオーナーでした。駆動系はオリジナルのフィアット500とは、まったく異なるんです」
「エンジンは直列2気筒ではなく、水平対向2気筒ユニットで、排気量は後期型で650ccあります。最高出力は30psほど。変速しやすくするシンクロメッシュ付きのZF社製4速MTが組まれていて、タッチも別物です」
ここまで状態の良いシュタイアー・プフ500も珍しいが、オーナーが30歳以下ということも珍しい。29歳のヘンリーは人生での優先事項として、このクルマを掲げている。
「自分が8歳の頃からシュタイアー・プフ・クラブのメンバーでした。ずっと欲しかったクルマなんです。非常にレアで、売りに出ることは殆どありません」
「数ヶ月前に開かれたロンドン・クラシックカー・ショーで、偶然これを発見。なんとかお金を工面して、手に入れたんですよ」