オペル・マンタ GSe エレクトロモッドへ試乗 SUV風マンタは2025年デビュー

公開 : 2021.12.16 08:25

オペル自らが手掛けた、エレクトロモッド・マンタ。純EVとして再生されたクーペを、英国編集部が試乗しました。

1974年式マンタ・クーペを純EV化

かつて日本にも輸入されていたドイツのオペルは、マンタの復活を考えている。SUV風スタイリングをまとい、バッテリーとモーターで走る新マンタが、2025年に発表される計画があるようだ。

それまでに過去のモデルを利用して、マンタという知名度を高めようということなのだろう。ハッチバックのコルサeとクロスオーバーのモッカeに続く、稲妻マークのオペルとして、初代マンタ・クーペが純EVに生まれ変わった。1台だけ。

オペル・マンタ SGe エレクトロモッド(欧州仕様)
オペル・マンタ SGe エレクトロモッド(欧州仕様)

スタイリングは、1970年に登場したオリジナルの繊細でシンプルなラインのまま。しかし、76psを発揮した1.6気筒ガソリンエンジンは、147psを発揮する駆動用モーターへ交換されている。ベースとなったのは、1974年式のクルマだという。

このマンタ GSeの特徴といえるのが、電気モーターがフロントに搭載され、4速MTが組み合わされていること。ノーマルより長いプロペラシャフトを介して、後輪を駆動する。

駆動用バッテリーはリチウムイオン。前後の重量配分を考え、荷室の可能な限り前方へ搭載されている。実容量は31kWhと、現代の純EVとしては少ない。残りの空間は、イタリアへの4日間の旅行に充分な荷物を載せられるように残した、とオペルは主張する。

航続距離は199km。フランクフルト郊外の道を終日運転させてもらったが、実際にそのくらいの距離は走れるようだ。

ダッシュボードは現行のモッカe用

車重は1137kgで、ガソリンエンジンを搭載したオリジナルより177kgも重い。だが、近年の純EVとしては軽量といえる。増えた車重に対応すべく、フロントのディスクブレーキは強化。リアブレーキは本来ドラムだが、ディスクへ交換されている。

蛍光ペンのような鮮やかなボディが眩しい。このイエローは、オペルが近年定めたコーポレート・カラーだ。

オペル・マンタ SGe エレクトロモッド(欧州仕様)
オペル・マンタ SGe エレクトロモッド(欧州仕様)

オリジナルの初代マンタには、バー状のフロントグリルに丸目4灯のヘッドライトが備わっていた。だがマンタ GSeには、オペルがバイザーと呼ぶブラックのカバーの付いたフロントマスクが与えられている。

スリムなヘッドライトはLED。その間にモニターが埋め込まれ、オペルの稲妻マークが浮かび上がる。プログラムされたグラフィックや文字も表示できるという。

遅い先行車のミラーで読めるように、鏡文字で進路を塞がないでください、と表示できるかオペルの技術者へ聞いてみた。笑顔で返してくれたが、YESなのか、NOなのか、どちらなのだろう。

仮に表示できないとしても、マンタ GSeにはそんなメッセージは必要ないかもしれない。0-100km/h加速は8.9秒と、初代マンタとしては充分に速いが、現代の純EVとしてはのんびりな方だ。

ドアを開くと、モッカeのものへ置換されたダッシュボードとメーターパネルが姿を表す。メーター用とインフォテインメント用、2面のモニターが並んでいる。

シートはレカロ社製が奢られる。オペル・アダム・グランドスラムというホットハッチから流用した、という情報は嘘らしい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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