2021年の頂点は アリエル・アトム 4 欠点なく速い 最終審査の3台 BBDC 2021(4)

公開 : 2022.01.01 05:45

2021年のベスト・ドライバーズカーを選出する、AUTOCAR恒例のBBDC選手権。決勝に進出した3台から頂点に選ばれる1台は?

トップ3は911 GT3とSF90、アトム 4

団子状態の11台の混戦から、どのクルマが勝ち抜けるのか。第33回を数える英国ベスト・ドライバーズカー(BBDC)選手権で、最終審査へ進む3台が決まった。

過去にディフェンディング・チャンピオンとして参加し、2年連続勝利を収めたモデルは、初代ホンダNSXフェラーリ550 マラネロ、アリエル・アトム 4の3モデルだけだ。それ以外、毎年違うモデルが優勝を掴んでいる。

フェラーリSF90 ストラダーレ・アセット・フィオラーノとアリエル・アトム4、ポルシェ911 GT3
フェラーリSF90 ストラダーレ・アセット・フィオラーノとアリエル・アトム4、ポルシェ911 GT3

ハットトリック、3年連続優勝は過去に1度もない。だが、第一印象が最も良かったクルマは、アリエル・アトム4だった。正直なところ。

新モデルとしてノミネートした2019年は、天候に恵まれ、優勝は驚くような結果ではなかった。雨に振られた2020年も優勝を遂げ、アリエルの偉業に心が打たれた。だが、その連勝に動揺したことも事実だ。

2021年の天気は晴れ。アングルシー・サーキットの路面はドライ。最終審査にアリエル・アトム4が勝ち進んだのは、自然な流れだったといっていい。

最新の992型ポルシェ911 GT3が最終審査へ残ったことも、驚くべき結果ではない。ただし、ダウンフォースを増すボディキットに、ダブルウイッシュボーン式のサスペンションが備わっていたとしても、優勝するとは限らない。

GT3は毎回、BBDCで高得点を得る。だが、ポルシェ911が優勝した回数はそれほど多くない。前回は2017年に遡る。

決戦のもう1枠、3台目に勝ち進む得点を得たのが、PHEVのフェラーリSF90 ストラダーレ。BBDC史上、200馬力ほどの差を付けて、最もパワフルなノミネート車でもある。新水準の技術的も搭載している。

目立った欠点がなく、極めて速い

英国のフェラーリは、サーキット用にスペアタイヤと技術者を派遣してきた。公道用に、もう1台のSF90 ストラダーレすら準備するという体勢で。

もちろん、フェラーリはこの戦いを有利に運びたいのだろう。BBDCでの結果を、真剣に受け止めてくれている証拠でもある。

アリエル・アトム4(英国仕様)
アリエル・アトム4(英国仕様)

AUTOCARが設けているルールは11台に共通している。その範囲でどれだけのことをするのかは、メーカーの判断による。最大限にこの機会を活かそうとしてくれるフェラーリには、感謝したい。

そんなフェラーリだが、BBDCの頂点を直近で掴んだのは2015年。一切の忖度抜きで採点していると、自信を持っていえる。

勝ち残った3台は、バランスの良い違いと比較をもたらしてくれた。英国車とドイツ車、イタリア車が1台づつ。スポーツカーにスーパーカー、ハイパーカーと、動力性能にも差がある。後輪駆動が2台で、四輪駆動が1台。3ペダルのMTが1台で、2台はATだ。

エンジンの搭載位置も、911 GT3は後方だが、アトム 4とSF90 ストラダーレは中央。過去の例を振り返っても、特定のレイアウトや構成だから優勝できる、という法則はない。楽しさの生み出し方に、違いがあるとしても。

まず取り上げるべきは、アリエル・アトム 4だろう。去年の優勝モデルに乗り、現在地を確認する必要がある。

アトム 4には目立った欠点がなく、極めて速い。高い速度域で走らせ続けるには、ドライバーの闘争心が求められる、近年では珍しいクルマといえる。サーキットを3周走ったくらいで、圧倒されるわけにはいかない。序の口だ。

記事に関わった人々

  • アンドリュー・フランケル

    Andrew Frankel

    英国編集部シニア・エディター
  • マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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