2021年の頂点が決定 ポルシェ911 GT3 明らかな独走状態 BBDC 2021(6)

公開 : 2022.01.03 05:45

2021年のベスト・ドライバーズカーを選出する、AUTOCAR恒例のBBDC選手権。決勝に進出した3台から頂点に選ばれる1台は?

ステアリングを握った瞬間に見えていた

2021年のベスト11台から、決勝として3台へ絞られ、ベスト・オブ・ベストのドライバーズカーが決まる。結局、異論は出なかった。初日の午前中、何台かの後にステアリングホイールを握った瞬間から、明らかに独走状態だった。

ポルシェ911 GT3を既に運転したことのある審査委員は、荒れた路面を見事に処理する足まわりへ、一様に驚いていた。快適とはいえないにしろ、隆起やうねりのある路面をしなやかに処理してくれた。

ポルシェ911 GT3(992型/英国仕様)
ポルシェ911 GT3(992型/英国仕様)

ステアリングの感触も秀逸。正確で明瞭なフィードバックが常に伝わってくる。

かつてのポルシェ911より、992型GT3のボディは大きい。それでも従来以上に俊敏で、狭い一般道を狙った通りに導くことができた。ランボルギーニウラカンSTOや、フェラーリSF90 ストラダーレの手を焼くような印象とは、まったく異なる。

エンジンもイベントの1つ。感銘を生むのは、最高出力の大きさだけではない。パワーを生み出す過程にもある。サーキットを走らせれば、過去最もバランスに優れたポルシェ911を活かし切ることを許してくれる。ひたすらに、素晴らしい。

ポルシェ911 GT3は、ベストラインを正確になぞるスタイルも、悪ふざけでテールを振り回して走るスタイルも、どちらも得意。むしろ、率先して受け入れてくれるようにすら感じる。

2021年の英国ベスト・ドライバーズカーは、992型ポルシェ911 GT3だ。珍しく悩むことなく、2021年最高の1台が決まった。正直なところ、審査員がこのステアリングホイールを握った瞬間に、BBDCの答えは見えていたようにすら思う。

番外編:ラップタイムで見るノミネート車両

1t当たりの馬力を示すパワーウエイトレシオで最大のアドバンテージを持ち、ミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2Rという高性能タイヤを履いた、フェラーリSF90 ストラダーレ。アングルシー・サーキットを、11台で最も速く周回した。

2番手のラップタイムを刻んだアリエル・アトム4に4秒以上の差を付け、フェラーリとしての面目躍如を成し遂げた。1分11秒1という記録は、過去のBBDC選手権でもファステスト・タイムになる。

英国ベスト・ドライバーズカー(BBDC)選手権を開催した英国アングルシー・サーキット
英国ベスト・ドライバーズカー(BBDC)選手権を開催した英国アングルシー・サーキット

変速のタイミングを図る必要もなかった。ロケット・コーナーでは、ブレーキング直前に16km/hほどの速度差を生み、ほぼすべてのセクションで最速。バスストップ・コーナーで、僅かにポルシェ911 GT3に及ばなかった程度だ。

ラップタイム2番手はアリエル・アトム4とポルシェ911 GT3で肉薄。下り坂のコークスクリュー・コーナーのブレーキングでは、アトム4のフロントタイヤがロックしやすい傾向があり、少し足を引っ張ったようだ。

結果的に最高速度では911 GT3の方が上ながら、ラップタイムではアトム4の方が勝っている。他の10台は5周から8周でベストタイムへ迫れたが、アトム4は周回を重ねるほどタイムが短くなる傾向もあった。もっと走っていれば、さらに縮められたかもしれない。

記事に関わった人々

  • マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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