日産シルビア EVで復活、可能性が高いといえるワケ
公開 : 2021.12.31 11:05
日産シルビアの復活。これまで何度も囁かれています。可能性が高いと筆者(桃田健史)はいいます。
「ワクワク」新型EVに含まれる?
兼ねてから噂があった、EV版日産シルビア登場の可能性に光明が見えてきた。
日産自動車(以下、日産)は2021年11月29日、長期ビジョン「日産アンビション2030」を発表した。
その中では、今後5年間に約2兆円を投資して電動化を加速させるとした。
具体的には、2030年度までにEV(電気自動車)15車種を含む23車種のワクワクする新型電動車を投入するという。
「ワクワク」とは、日産のプレスリリースで使われている言葉である。
EV15車種以外の8車種の電動車については、具体的なパワートレインの提示はなかったが、日産の現状を踏まえれば当然、eパワーの活用が主体となると予測できる。
23車種に一般的な車系が適用されると考えると、セダン、SUV、クーペ、クロスオーバー、オフロード、ピックアップトラックの姿を目に浮かぶ。
実際、EVについては、コンセプトモデルとしてSUVの「ハングアウト」、ピックアップトラックの「サーフアウト」、そして2ドアオープンカーの「マックスアウト」という3モデルが紹介された。
このうち「マックスアウト」がシルビアEVに近いイメージかもしれないが、今回公開されたのはデジタルデータによる架空モデルであり、シルビアEVとしての可能性を検証するには情報が不十分だ。
では、改めて日産が初公開した、将来の技術コンセプト「日産EVテクノロジービジョン」を見ていきたい。
シルビアEV 肝は全固体電池
これはいわゆるEVプラットフォームの一種だと考えられる。
最大の特長は車体下部に位置する薄型の電池パックだ。
現行のリチウムイオン二次電池と比べて体積あたりのエネルギー密度が高く、軽量でコンパクトなセル形状が可能となる全固体電池を想定している。
全固体電池は、リチウムイオン二次電池の一種だが、正極と負極の間にある液体の電解質部分が固体となっていることで、全固体と呼ばれる。
エネルギー密度が高いことに加えて、電池内部の温度が何らかの理由で過剰に上昇した際に液体の電解質のように燃焼するリスクが低いとされている。
今回の発表で日産は「全固体電池を2028年度に市場投入する」という目標値を示している。
こうした最小化された電池パックと、車体/シャシーを結合し「革新的構造」を実現するとしている。
ここに前後の車輪軸それぞれにモーターを備え、FF(前輪駆動)、FR(後輪駆動)、AWD(四輪駆動)が選択できる。
こうしたEVプラットフォーム構想は、トヨタ、GM、テスラなどでも概要としては共通点が多い。
日産の内田誠CEOは、全固体電池による商品性の自由度の広がりについて大きな期待をかけている。