メルセデスAMG、F1最終戦の訴え取り下げ 「FIAに責任追わせる」 フェルスタッペンに祝福の意

公開 : 2021.12.18 05:45

メルセデスがF1最終戦における運営への訴えを取り下げました。FIAは調査の徹底を約束しています。

マイケル・マシの判断が変えた結末

メルセデスAMGがシーズン最終戦アブダビGPの最終ラップに関する訴えを取り下げたことを受け、マックス・フェルスタッペンが2021年のF1世界ドライバーズチャンピオンになることが確定した。

7年連続で世界チャンピオンに君臨してきたルイス・ハミルトンは、最終戦でもレースを支配していたが、終盤にセーフティカーが導入され、状況は一変する。レッドブル・ホンダのフェルスタッペンがピットインしてタイヤを交換し、2人の間には周回遅れのマシンを数台挟む形となった。

新品タイヤのフェルスタッペンに対し、ハミルトンは使い古したタイヤで苦戦を強いられた。
新品タイヤのフェルスタッペンに対し、ハミルトンは使い古したタイヤで苦戦を強いられた。

FIAレースディレクターのマイケル・マシは当初、周回遅れのマシンを残したままレースを再開させる意図を示唆してしたが、その後、ハミルトンとフェルスタッペンの間に挟まれたマシンにアンラップを指示し、その周の終わりでレースが再開されることになった。

結果的に、新鮮なタイヤを履いたフェルスタッペンがハミルトンをオーバーテイクし、レース優勝とチャンピオンを獲得した。メルセデスは当初、この結果をスチュワード(レース審査員)に訴えたが、却下された。メルセデスはさらに上訴するとしていた。

モータースポーツの統括団体であるFIAは15日、今回の出来事について「詳細な分析と解明作業」を開始すると発表した。これは、世界モータースポーツ評議会で同レースに関するプレゼンテーションが行われた後に決定されたものだ。

FIAは声明の中で、「F1チーム、ドライバー、ファンから大きな誤解と反応があったことは特筆すべきことで、この議論は選手権のイメージを悪化させている」と述べた。

また、「ドライバーと関係者の安全を確保しつつ、我々のスポーツの競争力を維持するために、この状況からあらゆる教訓を引き出し、参加者、メディア、ファンに現行のレギュレーションについて明確にするために、すべてのチームおよびドライバーと議論し、対処する」としている。

フェルスタッペンには「心からの敬意」

メルセデスは16日、スチュワードの裁定に対して控訴しないと発表した。チームは声明の中で次のように述べている。

「ルイスとともに、F1シーズン最終戦で起きた出来事にどう対応するか、慎重に検討してきた。我々は常にこのスポーツに対する愛情に導かれてきたし、すべての競争は実力で勝ち取るべきものだと信じている。日曜日のレースでは、我々も含めて多くの人が、展開の仕方がおかしいと感じた」

フェルスタッペンは24歳という若さで、初の世界チャンピオンに輝いた。
フェルスタッペンは24歳という若さで、初の世界チャンピオンに輝いた。

「日曜日のレース結果に抗議したのは、ルイスが圧倒的なリードを築き、世界選手権を制覇しようとしていたのに、セーフティカー規制が新たな形で適用され、レース結果に影響を与えたからである」

「我々はスポーツの公平性のために抗議し、その後、FIAおよびF1と建設的な対話を行い、将来に向けて明確化を図り、すべての競技者が自分たちのレースのルールと、その施行方法を知ることができるようにした」

「したがって、アブダビで起きたことを徹底的に分析し、F1のルール、ガバナンス、意思決定の堅牢性を向上させるための委員会を設置するというFIAの決定を歓迎する。また、FIAがチームとドライバーに参加を呼びかけたことも歓迎したい」

「メルセデスAMGペトロナスは、より良いF1を構築するために委員会と積極的に協力していく。我々はこのプロセスについてFIAに責任を追わせ、ここに控訴を取り下げる」

また、メルセデスはフェルスタッペンとレッドブルに「心からの敬意」を表し、2人が2021年のタイトル争いを「真に壮大なもの」にしてくれたと述べた。

ハミルトンについては、「F1史上最高のレーサー」と呼び、「コース上でもコース外でも完璧なスポーツマン」と表現している。

そして、2022年にアルファ・ロメオに移籍するバルテリ・ボッタスに対しては、過去5回のコンストラクターズ・チャンピオンシップ獲得に貢献したことに感謝の意を表している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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