レース参戦に向けて 「スポーツ走行クラス」とは TBCCシーズン9第2戦(延期分)をレポート

公開 : 2021.12.24 21:15

TBCC参戦を目指す方に向けた「スポーツ走行クラス」をご存知ですか? TBCC第2戦で、このクラスに参加したミニ・オーナーに意気込みを伺いました。

レース参戦の前に、試したい

年間4戦のシリーズ戦として開催されている「東京ベイサイド・クラシック・カップ・シリーズ(TBCC)」は、往年の輸入車と懐かしい国産車が参加しているレース形式の走行会である。

袖ヶ浦フォレストレースウェイを本気で走るイベントながら、ドライバーの腕とクルマの性能によるラップタイムによりクラス分けが行われ、安全にバトルが楽しめるように配慮されている。

今回注目した「スポーツ走行クラス」でコースインするクルマたち。まだまだノーマルの雰囲気を残している。この走行枠を経験し、ステップアップするのだ。
今回注目した「スポーツ走行クラス」でコースインするクルマたち。まだまだノーマルの雰囲気を残している。この走行枠を経験し、ステップアップするのだ。    高桑秀典

また、TBCCに参加する前にお試しで参加できる“プレTBCC”的な意味合いを持つ「スポーツ走行クラス」なども用意されている。このことからも、敷居の低いモータースポーツと言うことができる。

今季は新型コロナウイルス感染症対策のため、TBCC実行委員会の判断により、9月12日に実施予定だった9シーズン目の第2戦/第34回が延期となっていた。

感染拡大が落ち着いたことから、万全のコロナ対策を施して、12月5日に第34回TBCCを開催。今回も無観客だったが、今後状況の悪化がなければ、来たる2月6日開催予定の第35回から観戦可能となる予定だ。

どんなヒトがエントリーしてる?

TBCCならではのカテゴリーといえる「スポーツ走行クラス」は、現行車でも走行OKということもあり、毎回、数多くの自動車趣味人がエントリーしている。

今回のTBCCに用意された同クラスには25台が参加。エントリー車を見るとTBCCとは直接関係のない新しいモデルのトヨタヴィッツRSが走っていた。

東京ベイサイド・クラシック・カップ・シリーズでは70歳以上のドライバーも活躍しており、61歳の緒方世喜さんは、まだまだこれからの人だ。
東京ベイサイド・クラシック・カップ・シリーズでは70歳以上のドライバーも活躍しており、61歳の緒方世喜さんは、まだまだこれからの人だ。    高桑秀典

実はこのカテゴリーは重要な意味合いを持つのである。これから参戦を目指す方のために向けたお試しの場ともいえる、“プレTBCC”的な意味合いを持っているのだ。

そこでレーシーにモディファイされたローバー・ミニでエントリーしていたオーナーに注目。マシンのチューニング具合と、今後の展望をインタビューしてみた。

エンジン載せ替え「1300ccに」

1988年式のローバー・ミニ1000でスポーツ走行を楽しんでいた緒方世喜さん(61歳)は、愛機を16年前に購入。1/1スケールのオモチャとしてモディファイし、当初はMk-IIのSTDクーパー仕様にして楽しんでいたという。

「7年ぐらい前にエンジンを載せ替えました。998チャレンジ用に造ったものをちょっとイジって載せたのですが、このときも日英自動車が日本に入れた際のディーラー車仕様にしていました」

1988年のミニ1000に緒方さんはキャブ・クーパー用の1300ccエンジンを搭載。シリンダーヘッドを面研し、286°ハイカムで武装。
1988年のミニ1000に緒方さんはキャブ・クーパー用の1300ccエンジンを搭載。シリンダーヘッドを面研し、286°ハイカムで武装。    高桑秀典

「ですが、その後、次第に“走り”のほうに傾倒していってしまい、まさにオモチャ感覚でボディを自分で塗装したりしていました」とは緒方さんのコメント。

TE27型のレビン/トレノや三菱ギャランなどのイメージを投影し、汎用品のオーバーフェンダーまで装着してしまったそうだ。

「2回目のエンジン載せ替えは今年の4月に実行し、このタイミングで1300ccにしました。キャブ・クーパー用のエンジンです」

「最初は1000ccエンジンのドロップギアだけを交換するつもりだったのですが、ストレートカットにすると壊れるたびに修理しないといけなくなるので、やめました」

「それで1300ccにしたわけですが、結局、エンジン+水まわり+トランスミッションまでやることになり、フルセットのような勢いで行うことになりました」とも話してくれた。

緒方さんによると、1300ccエンジンはシリンダーヘッドを面研して、286°ハイカムにしたので、坂道がツライらしい。トランスミッションはストレートカットに変更。

これまで走行会など年2〜3回参加していたが、現在の仕様にしてからは初サーキットなので、12月5日のTBCCではレース形式走行会ではなく、スポーツ走行クラスにエントリーしたのだという。

「今回が3回目の袖ヶ浦フォレストレースウェイです。1300ccエンジンを試してみたくて参加しました。本当は筑波のレースにも出てみたいのですが、このモディファイ具合だと自動的に上のクラスになってしまうんですよ」

「ゆくゆくはTBCCのクラブマン・カップで走りたいです。そのために4000rpmでクラッチミートする、スタート練習を密かに行っています」と笑顔でコメントしてくれた。

緒方さんのパートナーが所有する1997年オートマ・ミニの調子がいいので、自身の愛機は心置きなくイジれるそうだ。モディファイの過程で取り外した、まだ使えるパーツ(コイルとか)パートナーのオートマ・ミニで活用しているそうだ。

乗る機会が減ってしまったこともあり、先日、泣く泣く手放してしまったMk-II仕様にしたMGミジェット1500に8年乗っていたほどの英国車好きである緒方さん。

今後のモディファイ計画について伺ってみると、「ヘッドを替えて、キャブを45φにして、現在2ポッドのブレーキを4ポッドにして、とか、いろいろやりたいです」。

次戦のTBCCで緒方さんの勇姿を拝見できるかもしれないので、個性的なボディカラーのミニを見つけたら、静かに声援を送ってほしい。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    高桑秀典

    Hidenori Takakuwa

    1971年生まれ。デジタルカメラの性能が著しく向上したことにより、自ら写真まで撮影するようになったが、本業はフリーランスのライター兼エディター。ミニチュアカーと旧車に深い愛情を注いでおり、1974年式アルファ・ロメオGT1600ジュニアを1998年から愛用中(ボディカラーは水色)。2児の父。往年の日産車も大好きなので、長男の名は「国光」
  • 編集

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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