かつての人気「リッターカー」なぜ苦戦? 軽の隆盛/ニーズ変化が背景
公開 : 2021.12.23 11:40
リッターカー=排気量1Lのエンジンを搭載したコンパクトハッチバック車が苦戦する理由を探りました。
リッターカーが売れなくなった
かつて日本は「リッターカー」と呼ばれるクルマが人気を集めていた。
排気量1Lのエンジンを搭載したコンパクトハッチバック車だ。
昭和の時代はダイハツ・シャレードや日産マーチが人気を集めた。平成になった1999年にはトヨタのヴィッツが登場。販売ランキング上位をうかがうようになる。
2004年からはヴィッツよりも、さらに小さなトヨタのパッソとダイハツ・ブーンの兄弟も誕生。
2012年には、三菱のミラージュもリッターカーとして復活している。
ところが、そんなリッターカーが最近では、さっぱり売れなくなっている。
「ヴィッツの後継モデルであるヤリスが売れているだろう」と思う人がいるかもしれない。
確かにヤリスは、今、非常に売れている。
しかし、その内訳を見ると、半分がSUVの「ヤリス・クロス」であり、残りの半分が1.5Lのハイブリッド。そして、最後に残ったうちの6割が上級グレード。
つまり、エントリーの1Lエンジン搭載車は、ほんのわずかしか売れていないのだ。
ちなみに2020年上半期(1~6月)の新車販売ランキングを見ると、パッソは1万778台の販売で21位、日産のマーチは4942台で45位、三菱自動車のミラージュとダイハツのブーンは共に50位より下の圏外。
「さっぱり売れていない」という状況だ。
では、小さいクルマのニーズがなくなったのか? というと、そんなことはない。
小さいクルマの人気は根強い
ヤリスは1~6月で約12万台が売れており、その半分がヤリス・クロスであったとしても、残る6万台は1Lと1.5L、そしてハイブリッドのヤリスそのものなのだ。
また、日産ノートも1~6月には4万6879台も売れて販売ランキング7位。フィットはやや苦戦していて、2万9686台の12位。
アクアは7月にフルモデルチェンジで、上半期はモデル最終盤ということもあり2万119台で19位。
しかし、年の後半では単月で2位になるなど好調に売れている。
1.5Lのガソリンとディーゼル・エンジンを搭載するマツダ2は、上半期が1万2750台で25位。
ライバルと比べると数は少ないが、これでもマツダ車としてはトップの売り上げ。マツダとしては悪くない数字なのだ。
つまり、小さなクルマのニーズは手堅くあるものの、リッターカーだけが不調ということだ。
軽自動車はどうかといえば、コロナ禍となった2020年は軽自動車全体で前年比マイナス20万台の年間約170万台であった。
一方排気量を66ccに拡大した平成元年以降、これまでの約30年の間、ほぼ160~220万台の中で推移。手堅く売れている。
小さなクルマのニーズはあるものの、リッターカーだけが苦戦する理由は何であろうか?