トヨタGR86 3度目の試乗 サーキットの気持ち良さ、公道でも同じ?
公開 : 2021.12.30 17:45 更新 : 2021.12.30 19:37
トヨタGR86に3度目の試乗。今回は公道です。ちょっと硬い乗り心地へのトヨタの返しも興味深いです。
サーキットの気持ち良さは公道でも同じ?
これまでのおさらい。最後の1ピース?
今回はトヨタGR86を箱根のワインディングで試乗することができた。
これ以前にも筆者は2回、新型のBRZ/GR86を試乗しているので、その背景の整理をしておきたい。
最初は今年7月、袖ヶ浦フォレストレースウェイで両車のプロトタイプを比較試乗することができた。
次の機会は11月初頭で、この時は先に発売が開始されたBRZのみを公道で試乗した。
そして今回、BRZから3か月遅れで発売されたGR86を箱根で試乗できることになったのだ。
揃って第2世代に生まれ変わったこの兄弟車は、初代の時と同じくダンパーの減衰やパワステの設定等により違いを生み出そうとしていた。
ところがGR86だけはマスタードライバー(豊田章男社長です)の一声により、ひと通り開発が終わった後でさらなる変更が加えられることになった。
袖ヶ浦で試乗できたプロトのGR86は鉄製のフロントハブキャリア、専用スタビなどコストリーな変更が加えられた後の状態だった。
実際にサーキットではしっとりとオトナの雰囲気を醸し出すBRZに比べ、躍動的で挙動を把握しやすいGR86の方が輝いて見えたのである。
だが試乗した場所がサーキットだったことは考慮すべきポイントだ。
後に公道で試乗したBRZは、袖ヶ浦のときよりはるかに上質に感じられ、普段使いやロングドライブに向くという結論に至っている。
つまり筆者にとってGR86を公道で試乗する今回は、まだ体験していない最後の1ピースだったのである。
公道、山道でも「楽しさ」は健在か?
GR86の公道試乗で確かめたいことは2点。
サーキットで「ちょうどいい」と感じたアシが公道では硬すぎて乗り心地を犠牲にしているのではないか? そして時にニュートラル寄りに感じられた(つまりかなり鋭い、キレッキレの)ハンドリングが公道でどのような立ち居振る舞いを見せるのか、である。
ベーシックなRZのMTとAT、そして上級のSZのMTを試乗できたのだが、今回はRZのMTに着目してみた。
試乗会の会場から芦ノ湖スカイラインに行くまでの間の乗り心地は、想像通りリアが硬い感じがした。
とはいえアシがゴツゴツとボディを突き上げるような感じではなく、ボディとの一体感をもって揺すられる。
走るペースに気を付ければ、そしてあまり長い距離じゃなければ、パッセンジャーも我慢できそう、といったところか。
一方引き締まったアシとボディのおかげで、ワインディングではすぐに自信をもって攻め込むことができた。
思えば袖ヶ浦でも「排気量アップでとにかく速い」という感じではなく「思い通りの姿勢を作れて気持ちがいい!」という印象が強かった。
GR86のスロットルの設定はBRZに比べはっきりとした「早開き」になっている。
気にしはじめると不自然な感じもするが、ワインディングではスロットルの踏みはじめに弾けるようなパワーが感じられ、クルマ全体の印象をグッと引き上げてくれていることがわかる。
驚いたことに、GR86の「楽しさ」はサーキットだけではなく山道でも健在だったのだ。